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個人事業主が副業をする場合の取り扱い〜事業所得か雑所得かで税額が変わります〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

個人事業の方でも、本業以外にいくつかの収入があるという方もいると思います。

このような場合に、本業以外の収入(ここでは副業とします)が事業所得になるのか雑所得になるのか判断に迷う場合があると思います。

ここでは、副業をどのように申告するべきか解説します。

本業と副業の線引きは?

個人事業主として仕事をしながら、本業とは別の収入がある場合、どのような取り扱いになるでしょうか?

例えば、定期的にイベントを主催して収入がある場合を考えてみましょう。

本業については事業所得として確定申告をすることになりますが、イベントの収入はどのような取り扱いになるでしょうか?

考えられるのは

・事業所得に含めて申告する

・雑所得として申告する

の2パターンでしょう。

まずは、事業所得と雑所得の基本的な考え方について確認しましょう。

事業所得とは

事業所得は、事業主自身のリスクで反復継続的に行う事業の利益(損失)のことを言います。

個人事業主として行なっている本業は事業所得に該当することになります。

ただ、本業といっても一つだけの仕事を行なっている人もいれば、複数の仕事を行なっている人もいます。

事業所得においては、一人一つの事業しか申告できない訳ではなく、複数の事業を並行して行なっていれば、全ての事業を事業所得として申告することになります。

雑所得とは

副業=雑所得という理解をされている方もいるかもしれませんが、事業所得との線引きが難しいところです。

雑所得とは、事業所得や給与所得(サラリーマンやアルバイトがもらうお給料が該当します)などの所得区分に該当しないものをまとめたものです。

そのため、結果的には趣味の延長でやっている副業などが該当することになります。

(他には、仮想通貨の取引やFXなどは雑所得に該当します)

副業は事業所得か雑所得か

副業といっても、メインの事業に匹敵するレベルの売上がある場合もあれば、趣味の延長というような場合もあると思います。

このように副業といっても色々なパターンがあるので一概には言えませんが、次のような場合は事業所得として認識することが妥当でしょう。

・売上規模が本業と変わらないレベル(またはそのレベルまで引き上げるつもり)

または

・本業との関連性が高い事業

といったような場合は事業所得として認識することが妥当でしょう。

逆に言えば、

・売上規模は少なく、費やす時間も本業がメイン

かつ

・本業とは関連性が薄い事業

といったような場合は雑所得として認識することが妥当かと思います。

事業所得か雑所得かで違いはあるか?

所得税の計算においては、事業所得と雑所得は合算して税金を計算します。

そのため、基本的には事業所得でも雑所得でも同じように所得税と住民税の課税対象となります。

しかし、本業や副業に赤字が出ていたりすると最終の税額が変わる場合もあるので、事業所得か雑所得かの判断が重要になることもあります。

【補足】事業税について

聞きなれないかもしれませんが、事業税という税金があります。

これは事業所得として申告している場合に課税されるものなので、雑所得で申告した場合には課税されません。

ただし、所得が290万円以下の場合は、事業所得として申告していても事業税は課税されません。

ちなみに、税率はほとんどの業種で5%です。

事業所得でも雑所得でも結果が同じ場合

副業を事業所得で申告しても雑所得で申告しても結果が同じなのは

・本業が65万円以上(簡易簿記や白色申告の場合は10万円以上)の黒字

・副業も黒字

・仮想通貨の取引がない、または黒字

という条件を満たした場合です。(事業税については事業所得か雑所得かで異なります)

どちらも黒字であれば、合算されて課税されるだけなので、事業所得だろうが雑所得だろうがどちらも課税されるので結果は同じになります。

ただし、事業所得は青色申告をしていると65万円(または10万円)の特別控除があるので、それ以上の利益が出ていることが条件です。

事業所得と雑所得で結果が異なる場合

上記の、結果が同じになる場合以外であれば、結果が変わる場合があります。

本業の黒字が65万円以下の場合

この場合、副業が黒字であれば、事業所得として申告した方が税負担が少なくなります。

青色申告特別控除は、65万円が限度ですが、事業での利益が65万円以下であれば、その利益の額が上限となります。

そのため、本業の利益が50万円、副業の利益が20万円という場合は次のような違いが生じます。

①副業を事業所得として認識した場合

事業所得:70万円ー65万円(青色申告特別控除)=5万円

②副業を雑所得として認識した場合

事業所得:50万円ー50万円(青色申告特別控除)=0円

雑所得:20万円(控除はなし)

副業をどちらで認識するかによって、15万円も所得が変わることになります。

副業が赤字の場合

事業所得で赤字が発生した場合は、赤字を来年に繰り越すことが可能ですし、給与所得がある場合には相殺することが可能です。

しかし、雑所得の場合は赤字が発生しても赤字を繰り越すことも相殺することもできません。

そのため、本業の利益が200万円、副業の赤字が50万円という場合は次のような違いが生じます。

①副業を事業所得として認識した場合

事業所得:本業200万円ー副業50万円=150万円

②副業を雑所得として認識した場合

事業所得:本業200万円

雑所得:0円(赤字50万円は切り捨てられる)

仮想通貨の取引で赤字がある場合

仮想通貨の取引は雑所得として認識することになります。

既にご説明した通り、雑所得の赤字は切り捨てられ、繰り越しも他の所得との相殺もできません。

しかし、副業の利益が雑所得に該当する場合には、同じ雑所得の枠内ですので、副業の利益と仮想通貨の赤字を相殺することが可能となります。

そのため、本業の利益が200万円、副業の利益が50万円、仮想通貨の損失が30万円という場合は次のような違いが生じます。

①副業を事業所得として認識した場合

事業所得:本業200万円+副業50万円=250万円

雑所得:0円(仮想通貨の赤字30万円は切り捨てられる)

②副業を雑所得として認識した場合

事業所得:本業200万円

雑所得:副業50万円ー仮想通貨30万円=20万円

まとめ

働き方や仕事に対する価値観も変わってきており、本業と副業と一言で区別できない働き方をしている方も増えて来ていると思います。

この記事では便宜上「本業」と「副業」と使い分けていますが、関わっている仕事が一つなのか、二つなのか、もっとあるのか、という考え方をして頂ければと思います。

事業所得と雑所得を区別する判断基準に「反復継続している」という点がありますが、事業との関連性も含めて総合的に判断することになります。

例えば、不定期で開催している朝活イベントの参加者から本業のお客さんになるという流れがあれば、本業の営業活動として考えることもできます。

結果的に事業所得として認識するか、雑所得として認識するかで税額が変わる場合もありますが、有利不利を計算して毎年コロコロ判断を変えるということは止めるべきです。

あくまでも、副業を事業活動の一環として考えるかどうか、その年の活動レベルなどを考慮して決めるのが原則です。

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売上300万円以下は雑所得?〜通達の改正で副業の所得区分を明確化〜 | ソーシャル税理士 金子尚弘~NPO&クラウド会計~ へ返信する コメントをキャンセル

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