こんにちは、ソーシャル税理士の金子@innovator_naoです。
個人事業主に付きまとう源泉徴収。
フリーランスの場合、誰かに源泉徴収することはなくても、「常に源泉徴収されてるよ」という人も多いんじゃないかと。
この源泉徴収ですが、ほとんどの場合は報酬額に対して10.21%です。
これは知ってるよ、という人が多いかもしれませんが・・・
源泉徴収の金額って、税抜の請求額で計算?それとも税込の請求額で計算?
消費税率アップで税込の請求金額が増えるけど、源泉徴収の金額って変わるんだっけ?
なんて疑問に思ったことはありませんか?
「あまり気にしていなかった」という方も多いかもしれませんが、改めて整理しておきましょう。
なお、源泉徴収の仕組みや基本的な知識はこちらの記事で解説しています。
参考 源泉所得税の仕組みとは?〜「個人事業主は必ず源泉される」は間違い〜ソーシャル税理士金子尚弘のページContents
税込、税抜きどちらも正解
結論はタイトルの通りです。
なんとも拍子抜けするような答えですが、実際にそのような取り扱いになっています。
正確に説明すると、税込金額に対して源泉徴収をすることが原則となります。
ただ、請求書に税抜金額が明記されていれば税抜金額に対して源泉徴収をしても良いことになっています、
ほとんどの場合、請求書には税抜金額も記載されていると思いますので、税抜金額に対して源泉徴収をしている場合がほとんどだと思います。
そのため、消費税率がアップしても、税抜金額に対して源泉徴収の計算をしていれば、源泉徴収の金額は変わりません。
請求書ごとに具体例をチェック
ここで、いくつか具体例を見て考えてみましょう。
例としては、個人事業主が講演料10万円を請求する場合です。
(消費税率は10%としています)
①税抜金額と税込金額の両方が書かれている場合
(本来はもっと記載する事項はありますが、必要なところだけ抜粋しました)
この場合の源泉徴収する金額は、次のいずれかの金額となります。
・税抜金額で源泉徴収する場合
100,000円× 10.21% = 10,210円
・税込金額で源泉徴収する場合
110,000円× 10.21% =11,231円
この請求書の場合は、10,210円でも11,231円でもOKということになります。
②税込金額しか書かれていない場合
金子
この場合の源泉徴収する金額は、次の金額となります。
110,000円× 10.21% =11,231円
請求書に税込金額しか書かれていないので、11,231円が正解です。
③交通費も請求する場合
遠方で講演をする場合などは、交通費の実費を請求する場合もあると思います。
交通費の取り扱いが少しややこしいのですが、
・原則的には報酬に含まれる
・報酬を支払う会社が直接ホテルなどを手配して支払う場合は報酬に含まれない
ということになると考えられます。
この請求書では交通費も含めて請求していますが、新幹線などの運賃は税込表記しかされていないため、上記のような請求書を作成することもあるでしょう。
そのため、次のような計算になります。
・税抜金額で源泉徴収する場合
報酬:100,000円× 10.21% = 10,210円
交通費:20,000円×10.21%=2,042円
合計:12,252円
・税込金額で源泉徴収する場合
報酬:110,000円× 10.21% =11,231円
交通費:20,000円×10.21%=2,042円
合計:13,273円
④請求書を発行しない場合
自治体などの公的機関から仕事を受ける場合、個人事業主が請求書を発行するのではなく、自治体の規定に基づいて報酬が支払われる場合もあります。
このような場合は、税込金額で源泉徴収をするか税抜金額で源泉徴収をするかは自治体の判断ということになります。
自治体から支払い通知書などを受け取ることになると思うので、どのように源泉徴収されているか念のため確認しておくようにしましょう。
まとめ
このように、源泉徴収する金額は請求書の書き方によって変わる場合があります。
税抜金額で源泉徴収されている方が多いと思うので、消費税率の引き上げによって源泉徴収の金額が変わるという人は少ないのではないかと。
ただ、税込で源泉徴収されている場合は消費税率の引き上げによって金額が変わるので気を付けておくべきでしょう。
コメントを残す