見掛けることは少ないかもしれませんが、意外と勘違いも多い障害者控除。
ここで知識を整理しておきましょう。
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障害者控除って?
障害者控除とは、一定の障害がある場合は健常者に比べて日常生活で支出も多くなることがあるため、一定の控除を認めている制度です。
控除額は、障害の程度や同居しているかどうかによって変わります。
区分 | 控除額 |
---|---|
障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者 | 75万円 |
障害者か特別障害者かの区分は細かな規定がありますが、主なものは次の通りです。
①精神障害のある方
精神障害者保健福祉手帳を持っている場合:障害者
このうち、障害等級が1級の場合:特別障害者
②身体障害のある方
身体障害者手帳を持っている場合:障害者
このうち、障害等級が1級、2級の場合:特別障害者
③知的障害のある方
障害者(重度の知的障害者という認定の場合は特別障害者)
他にも該当する要件はありますが、ここでは省略します。
【同居特別障害者とは?】
特別障害者が、一定の人と同居をしている場合には75万円の所得控除となります。
同居、というと納税者(扶養控除申告書を提出した人)と同居していると考えがちですが、ここでいう同居の範囲はこれよりも広いです。
納税者だけでなく、その配偶者やその親族(生計が同じ場合)と同居している場合でも該当します。
具体的には、次のような場合も同居特別障害者に該当します。
・旦那さんが単身赴任で、奥さんと特別障害者が同居している場合
・両親を扶養しており、そのどちらかが特別障害者の場合
扶養控除等申告書の記入方法
障害者控除については、扶養控除等申告書の以下の箇所の記入します。
一般障害者、特別障害者、同居特別障害者ごとに該当する人数を記入します。
欄の右側に「先の内容」という欄がありますが、そこに障害の状況などを記入することになります。
ちなみに、記入すべき内容としては以下のようなものがあります。
・障害の状態又は交付を受けている手帳などの種類と交付年月日
・障害の程度(障害の等級)などの障害者(特別障害者)に該当する事実
・その人が同一生計配偶者又は扶養親族の場合には、その人の氏名
・特別障害者であるときは同居の有無
・住所、生年月日、続柄、所得の見積額
これらの情報がきちんと記入されているかチェックしましょう。
障害者控除の注意点
障害者控除の特徴としては、障害の度合いによって控除額が変わるということがあります。
この辺りを踏まえて、障害者控除で注意すべきポイントをまとめてみます。
一般障害者か特別障害者かの判定
障害の等級によって一般か特別かが変わってきます。
扶養控除等申告書の「先の内容」の欄に記入がない場合は確認をする必要があります。
また、障害者手帳のコピーなどを添付して提出される場合もあるため、その場合は判定が正しくされているかチェックしておきましょう。
自分自身だけでなく、親族が障害者の場合も適用が可能
勘違いしている人も多いようですが障害者控除は、自分自身だけでなく、親族が障害者の場合も適用が可能です。
記入する人がそもそも知らなければ、チェックする側としては確認のしようがないですが、顧問先にアナウンスするなど、適用もれがないように先回りして伝えても良いかもしれません。
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です。
同居特別障害者の判定に注意
これも勘違いが多い例ですが、自分自身と同居ではなくても、生計が同じ親族が特別障害者と同居していれば適用が可能です。
(納税者を起点として全ての人が親族の範囲である必要がありますが、通常は当てははまります)
特別障害者として記入されている人が、実際は同居特別障害者という場合もありますので、注意しましょう。
まとめ
障害者控除についてチェックすべきポイントは次の通りです。
障害者手帳のコピーを提出する義務はないため、基本的には記入された内容をベースに判定することになりますが、確認できることはしておきましょう。
・一般障害者か特別障害者かの判定は正しいか
・扶養控除申告書に必要事項が記入されているか(記入されていなければ要確認)
・自分だけでなく、親族が障害者の場合も適用できる
・同居特別障害者の同居の意味は広いので、注意が必要
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