先日見かけたニュースですが、三重のいなべ市が楽器の寄付を受け付けているとのこと。(いなべ市のサイトはこちら)
私も吹奏楽部だったので分かりますが、公立学校では備品として楽器を買おうにも、予算が足りずにボロボロの楽器を使い続けていたり、そもそも必要な楽器が揃っていない、ということも。
そんな事情もある中で、いなべ市は使わなくなった楽器の寄付を受け付けています。
この楽器のふるさと納税とはどんな制度なのか、税金の扱いはどうなるのか見ていきましょう。
楽器のふるさと納税とは?
楽器のふるさと納税とは、文字通り不要になった楽器を寄付することです。
地方自治体(いなべ市)への寄付になるため、ふるさと納税扱いとなり、税制優遇が受けられます。
寄付までの流れですが、いなべ市から必要な楽器が公表されていますので、それに当てはまる楽器の寄付を打診します。
次に、楽器の査定をし、買取可能な状態であれば査定価格が提示され、それに納得すれば寄付を実行という流れになります。
ふるさと納税はお金じゃなくても可能
意外と知られていませんが、ふるさと納税(自治体への寄付)はお金ではなくても可能です。
しかし、ここで問題となるのは
①みなし時価譲渡(所得税法59条)
②寄付額はいくらなのか
の2つでしょう。
みなし時価譲渡とは
個人が法人へ物で贈与や寄付を行った場合、その時の時価で譲渡したものとみなされる、という規定があります。(所得税法59条)
例えば、時価30万円の楽器を法人に寄付した場合に、その寄付者は30万円で楽器を売ったという取り扱いになり、所得税が課税されてしまいます。
お金を貰ってないのに課税されるの?と思われるでしょうが、そういった扱いになっています。(制度の背景などは改めてご説明できればと思います。とりあえずここでは省きます。)
原則はこういった取り扱いですが、国や自治体、公益法人へ寄付した場合には非課税となるという特例があるため、楽器のふるさと納税では寄付者に所得税が掛かってしまう、ということはありません。
寄付額はいくらになるのか?
もう一つ問題になるのが、楽器の寄付額はいくらになるのか?という点です。
所得税法では、「支出した」金額が寄附金の金額として規定されていますが、物を寄付した場合の金額については明確に規定されていません。
通例として、物を寄付した場合は時価で寄付をしたということになりますので、楽器の寄付は査定額が寄附金の額として取り扱われることになります。
まとめ
過去に吹奏楽部などに所属していて楽器は持っているけど使ってない、という人は多くいることでしょう。
ふるさと納税と言えば、実質的には返礼品が目的の実自己負担2000円の通販となっていることも多いのではないでしょうか。
最近では過度な返礼品に規制が入るなどの対策は取られていますが、それでも根本的な目的の見直しにはなっていません。
そんな中で返礼品競争ではない新たなふるさと納税の取り組みとして、この楽器のふるさと納税は興味深い取り組みだと思います。
寄付者の想いを必要なところに届けるという意味では、こちらの方があるべき姿なのかもしれませんね。
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