こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
高市総理が解散を表明し、慌ただしい選挙戦となっていますが、各政党のマニフェストを比較し、税制や社会保障についての主張を整理したいと思います。
もちろん争点はそれだけではないですが、自民党が食品の消費税ゼロを主張するなど、ここまで税制に関する争点が全面に出るのは珍しいかもしれません。
まずは各党の主張を簡単に整理し、表にまとめました。
<税制について>

<社会保障について>

Contents
自民党
所得税関連
年収の壁を178万円に引き上げるという、以前の3党合意がマニフェストに示されています。
しかし、これは所得税のみなのか、住民税も含めてなのかはハッキリと読み取れませんでした。
消費税関連
物価高対策として飲食料品を2年間に限り消費税の対象としない案を掲げ、財源や工程は「国民会議」で検討を加速と述べています。
「検討を加速」という表現をどう考えるかでしょうが、以前も検討を加速しても特に何も決まらなかったという例はいくらでもあるので、個人的にはそこまで強い表現ではないのかなと感じています。
社会保障関連
中・低所得者向けの対策として、給付付き税額控除の制度設計を含め、社会保障と税の一体改革について議論し、結論を得ると述べています。
給付付き税額控除は基本的には税制の領域になるかと思いますが、税と社会保障の一体改革を踏まえての制度設計を考えているものと思われます。
中道改革連合
結党から間もないため、マニフェストも急ごしらえなのか各トピックの詳細までは記載がありませんでした。
所得税関連
いわゆる年収の壁の問題などに関する記載はありませんでした。
消費税関連
政府系ファンド(ジャパン・ファンド)の創設や基金の活用などによる財源確保と、食料品の消費税ゼロを掲げています。
社会保障関連
中低所得者の負担軽減と格差是正に向けた「給付付き税額控除制度」の早期導入を目指し、社会保障と税の一体改革について取り組むと述べられています。
日本維新の会
所得税関連
所得税・法人税のフロー減税を行い、簡素で公平な税制を実現すると述べられています。
また、ストック課税はその在り方を見直すなど、「フローからストックへ」を基軸とした税体系全体における抜本的な改革を行うと述べられています。
金融資産などを多く有する高齢者であっても、現行のフロー中心の税制では低所得者の区分になることも珍しくありません。
そういった観点からはストック課税の見直しは議論の余地があると感じています。
消費税関連
物価高対策として飲食料品を2年間に限り消費税の対象としない案を掲げ、財源や工程は「国民会議」で検討を加速と述べています。
これは自民党と同じですが、維新は新聞の軽減税率の廃止についても主張しています。
また、将来的には軽減税率を廃止し、一律8%とすることを掲げています。
社会保障関連
高齢者の窓口負担3割や、窓口負担割合や高額療養費制度の判定において、金融所得を含めた総合的な所得把握に基づく負担区分の設定を検討すると述べられています。
これは税制におけるストック課税の見直しとも共通する考え方だと思いますが、現行の所得判定は穴もあるので妥当な主張だと思います。
また、年金を積立方式や税方式へ改革するなど、世代間に不公平のない制度の構築を目指すとも述べられています。
国民民主党
所得税関連
国民民主党は住民税も含めて課税最低限を178万円(給与収入)とすることを明記しています。
現行では所得税と住民税で課税ラインが大きくズレているので、そこを揃えるという点では賛成ですが、給付金などは住民税非課税世帯を基準とするケースも多いため、その兼ね合いは検討する必要があるでしょう。
消費税関連
賃金上昇が一定水準に達するまでを条件としつつ、消費税を一律5%とし、インボイス廃止も明記しています。
社会保障関連
社会保険料還付制度を導入するとしていますが、詳細は読み取れませんでした。(現役世代の社会保険料負担の軽減を目的とすることは明記されています)
また、年金制度改革で第3号被保険者制度の廃止を掲げ、医療の負担・給付の再設計(高齢者負担を原則2割、保険診療の範囲見直しなど)も列挙しています。
維新の一律3割ほどではないですが、国民民主党も高齢者の窓口負担割合に言及しています。
また、個人的には3号被保険者は配偶者が2号被保険者(会社員)の場合のみ認められる制度であり、配偶者が自営業者の場合は認められないという不公平もあるため、見直しの方向は妥当ではと思います。
日本共産党
所得税関連
直接的に所得税に関する政策は記載されていませでんした。
消費税関連
消費税の廃止をめざし、ただちに5%へ減税、インボイス廃止を明記しています。
財源は大企業・富裕層優遇の是正等で確保する立場を示しています。 この姿勢はブレていませんね。
社会保障関連
窓口負担の軽減を目指すこと、公費を投入し国保を引き下げることなどが示されています。
また、介護保険においても国庫負担を引き上げ利用料の減免を目指すと書かれています。
更には、高所得者の保険料を頭打ちにする優遇策を見直し、応分の負担を求めるとされています。
共産党らしいといえば、共産党らしい主張ですね。
チームみらい
所得税関連
「子どもの数に応じた税率引下げ」という形で、家族構成に連動した所得税の減税構造を提案しています。
例として、子ども1人で所得税率がマイナス5ポイント(例:23%→18%)、2人になるとマイナス10ポイント(例:23%→13%)、3人になるとマイナス20ポイント(例:23%→3%)と記載されていましたが、超過累進税率では全ての所得に限界税率が課税されている訳ではないので、具体的な制度設計をどう考えているのかは気になります。
年収の壁が議論になることが多いですが、チームみらいの切り口は違いましたね。
消費税関連
国政政党の中では唯一、消費税の減税を訴えていません。
現役世代の負担となっている社会保険料の引き下げの方が優先すべきという立場です。
社会保障関連
現役世代の社会保険料負担の上昇(労使合計で約30%)への問題提起をしています。
保険料総額の伸びを国民所得の伸び以下に抑えるといった分かりやすい政策目標の設定、歳入手法のリバランス、さらに医療の自己負担割合の見直し(3割を目指す)等を提示しています。
全体として、現役世代の税・社会保険料の負担をいかに抑えるかという視点をベースに組み立てられていると感じました。
まとめ
大きな争点となっている消費税についてですが、個人的には食品の消費税ゼロは愚策だと思います。
なお、仮にゼロとなった場合の影響などはこちらの記事で説明しています。
ここまで各党が減税合戦をする選挙も珍しいなというのが率直な感想です。
一方の社会保障の分野では、現役世代の負担に焦点を当てているか、受益者の保護に焦点を当てているかで大きく分かれています。
前者の場合は例えば窓口負担割合を引き上げるなど、受益者の負担増に繋がりますし、後者の場合は現役世代の負担が今以上に重くなる可能性もあります。(公費負担を増やすといっても、元をたどれば税金ですし)
どの党であっても、全ての政策に対して賛成というケースはほぼあり得ないと思います。
私もこの記事を書くにあたって各党のマニフェストに目を通しましたが、賛同できる度合が高い党であっても「これはちょっと…」という項目もありますし。
それでも、自分の立場や考えからより良いと思える候補者・政党に投票できるように考えていきたいものです。
毎回言ってますが、選挙行けよ!



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