こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
税理士の中には保険会社の代理店をしていると言う事務所も多いと思います。
実際に私も開業後にいくつかの保険会社から代理店提携の連絡をもらったりしました。
営業の方からは「追加収入にもなりますし、いかがですか?」と言われたり。
顧問先などに保険を紹介して、成約になれば手数料が入ってくると言うモデルなので、確かに追加収入にはなると思います。
ただ、私はどこの保険会社とも代理店契約を結んでないません。
私があえて代理店契約をしていないのは「税理士の価値にフォーカスする」という理由があるんですよね。
人間は弱いものだと思っている
私の税理士としてのスタンスは
・クライアントの事業の成功、継続をサポートする
と言うものです。
もちろん、事業のリスクに備えて保険が必要な場合もありますが、私自身が代理店として提案をする事はありません。
保険を提案する場合も、つながりのある保険会社の担当者の方に相談をして提案をしてもらうことにしています。
その上で、クライアントの意向も踏まえながら私が相談に乗るという流れです。
保険会社の方の提案に同席することもありますが、当然ながらクライアントから追加の相談料をもらうことはありません。
このように私が代理店契約をしない理由は、「人間は弱いものだと思っている」からです。
もし自分が代理店契約をしていれば、必要性が薄い保険であってもクライアントに勧めてしまうかもしれません。だって、そうすれば自分にお金が入ってくるわけですから。
もちろん、こんな邪念など全く感じずにクライアントのためにお仕事をされている代理店の方もいらっしゃるとは思いますし、それが代理店の本来の姿だと思います。
ただ、私はそこまで強くないというか、自分の利害が関わると少し意思決定が歪んでしまうのではないかという不安があるんですよね。
だったら、手数料を絡めず第三者目線で相談を受ける方が良いなと。
そのために顧問報酬を頂いている訳ですし。
税理士の価値って何だろう
クライアントが税理士に何を求めるかはそれぞれでしょうし、別に正解はないと思っています。
「顧問税理士が勧めるから」と保険に加入するクライアントもいるでしょうし、それが必要な保険であればそれは望ましいことでしょう。
ただ、納税を減らすために決算直前に保険に加入するといった愚行を勧める税理士がいたのも事実で、それを喜んで受け入れたクライアントがいたのもまた事実です。
(保険の税務上の取扱いが変わり、現在ではそこまで利益圧縮できる保険は限られていますが)
こういった保険加入を
「クライアントが喜んでいるから良い」
と考えるのか
「本当はクライアントのためにならないから勧めるべきではない」
と考えるのかで税理士の価値は変わると思います。
多くのクライアントは会計や税金の知識が足りないので税理士に依頼しているはずです。
そのため、本来は意味のない「節税策」を有効だと信じてしまうクライアントがいるのも仕方ないかもしれません。
ただ、税理士はより深い知識と高度な視野で「本当にクライアントのためになる」提案をすべきではないかと思っています。
「お客はドリルが欲しいのではなく穴が欲しい」みたいな話で、節税したいと言っているクライアントが本当に望んでいることは安定した経営だと思うんですよね。
これで言われるがまま保険を売るのは一度使ったら二度と使わないドリルを売るようなもので、一流とは言えないんじゃないかな、と。
まとめ
税理士が保険の代理店をすること自体は別に違法でも何でもないんですが、過去には「こりゃひどい」というレベルで生命保険を勧められていた会社を見たこともあります。
明らかに必要以上の保険に入っていましたし、これで手数料を受け取っていたと思うと、「税理士として恥ずかしくないの?」というレベルです。
まぁ、ここまでひどい例は少ないかもしれませんが、代理店をやる以上は「本当にクライアントのためになっているか」と常に自問自答すべきじゃないかな、と。
私が出した結論は「自分が代理店をしないことがクライアントのためになる」なので、保険会社の方にお任せして私は相談を受ける役目に徹しよう、と。
クライアントのためになる仕事をして、喜んで顧問料を払って頂けるように頑張って行きたいです。
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