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生命保険などの税務上の取り扱いが変更されます〜国税庁のパブリックコメントから〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

2019年4月11日に国税庁からパブリックコメントが発表されました。

『「法人税基本通達の制定について」(法令解釈通達)ほか1件の一部改正(案)(定期保険及び第三分野保険に係る保険料の取扱い)等に対する意見公募手続の実施について』という仰々しい名前ですが、保険に関する税務上の取り扱いについて公開されています。

「節税だから」と生命保険に加入している会社もあると思いますが、そろそろ手法を見直してみてはいかがでしょうか?

【参考】パブリックコメントとは?

国や行政機関が法律・規則など制定しようとする際に、一般市民などに広く意見を求めることをパブリックコメントと言います。

広く意見を求めてより良いルール作りをすることが目的ではありますが、実際はパブリックコメントを経て、当初の案が変わるということはほとんどありません。

今回もまだ正式には決定されていませんが、この案で最終決定すると思って問題ないでしょう。

改正後の保険税務の概要

まず、現状の保険税務については、①長期平準定期保険、②逓増定期保険、③がん保険など(第三分野保険)、などに区分されています。

これらは、保険会社が様々な新商品(いわゆる節税保険)を開発するごとに、国税庁がその節税策を封じ込めるために改正を重ねてきたものです。

ただ、その後もイタチごっこは続き、まだまだ抜け穴を突いた保険が横行しているのが現状です。

・保険会社各社の商品設計の多様化や長寿命化等により、それぞれの保険の保険料に含まれる前払部分の保険料の割合にも変化が見られること

・類似する商品であっても個別通達に該当するか否かで取扱いに差異が生じていること

・ 前払部分の保険料の割合が高い同一の商品であっても加入年齢や保険期間の長短により取扱いが異なること

・第三分野保険のうち個別通達に定めるもの以外はその取扱いが明らかではなかったこと

といった理由から、今回の改正案で色々な保険商品に対して共通した取り扱いを定めることになりました。

あれこれ難しいことが書いてありますが、契約後の早い段階で多額の経費(損金)を計上できる保険商品を封じ込めるため、ということでしょう。

今回の改正で重要となるのが、最高解約返戻率です。

この割合に応じて資産計上すべき金額が変わることになります。

最高解約返戻率=解約返戻金÷既払込保険料

つまり、「支払った保険料に対して、何割が解約返戻金として戻って来るか」ということです。

最高解約返戻率と、資産計上の割合を整理すると次のようになります。

最高解約返戻率資産計上割合資産計上期間
50%超〜70%以下40%保険期間の40/100
70%超〜85%以下60%保険期間の40/100
85%超〜70%

(保険期間開始から10年間は90%)

保険期間開始から最高返戻率になるまでの間

いくら資産計上割合が低い(=損金算入割合が高い)と言っても、MAXの返戻率が70%以下では入る意味はないでしょう。

逆に10%しか損金算入できなければ決算対策の意味は薄れますし、MAXの返戻率を85%に設定して、40%の損金算入を取りにくい商品が主流になるんでしょうか。

「完全に潰しに来た」とまでは言えないですが、決算対策としては使いにくくなることは間違いないでしょう。

改正後の保険税務の詳細

上記で資産計上の割合を紹介しましたが、資産の取り崩し期間の取り扱いなどについても補足しておきます。

最高解約返戻率が50%超70%以下となる場合

保険期間の40/100の間は支払った保険料の40%を資産計上とすることになります。

資産計上したものは、保険期間の75/100経過後に均等額を取り崩すこととなります。

ただし、被保険者一人当たりの年換算保険料が 20 万円以下のものについて、資産計上せずに全額経費処理することが可能です。

なお、具体的な処理は次のようになります。

①資産計上期間(保険期間の40/100)

支払った保険料:保険積立金 40%、支払保険料 60%

②中間の期間(保険期間の40/100〜75/100)

支払った保険料:支払保険料 100%

③取り崩し期間(保険期間の75/100〜)

支払った保険料:支払保険料 100%

なお、資産計上分は「支払保険料 / 保険積立金」として取り崩し処理をします。

最高解約返戻率が70%超85%以下となる場合

保険期間の40/100の間は支払った保険料の60%を資産計上とすることになります。

資産計上したものは、保険期間の75/100経過後に均等額を取り崩すこととなります。

①資産計上期間(保険期間の40/100)

支払った保険料:保険積立金 60%、支払保険料 40%

②中間の期間(保険期間の40/100〜75/100)

支払った保険料:支払保険料 100%

③取り崩し期間(保険期間の75/100〜)

支払った保険料:支払保険料 100%

なお、資産計上分は「支払保険料 / 保険積立金」として取り崩し処理をします。

最高解約返戻率が85%超となる場合

保険期間の開始から最高解約返戻率となるまでの期間は支払った保険料の70%を資産計上とすることになります。

ただし、保険期間開始から10年間は90%を資産計上することとなります。

【資産計上期間の特例

 

資産計上期間が5年未満の場合:保険期間の開始から5年間

保険期間が10年未満の場合:保険期間の50/100の期間

 

最高解約返戻率となる期間経過後の各期間において、その期間における解約返戻金相当額からその直前の期間における解約返戻金相当額を控除した金額を年換算保険料相当額で除した割合が70/100を超える期間がある場合には、その超えることとなる最も遅い期間

資産計上したものは、資産計上期間経過後に均等額を取り崩すこととなります。

①資産計上期間(保険期間の開始から最高解約返戻率となるまでの期間など)

・保険期間開始から10年間

支払った保険料:保険積立金 90%、支払保険料 10%

・保険期間開始から10年間経過後

支払った保険料:保険積立金 70%、支払保険料 30%

②取り崩し期間(①の期間の経過後)

支払った保険料:支払保険料 100%

なお、資産計上分は「支払保険料 / 保険積立金」として取り崩し処理をします。

まとめ(個人的には改正案に賛成です)

この改正をどう捉えるかは人それぞれだと思いますが、個人的には大歓迎です。

おいおい、税理士が節税封じに賛成なの?

と思われる方もいると思いますが・・・

生命保険なんで、そもそも節税じゃないから!!

もちろん、一定の保障が必要であることについては否定しませんし、一定の保険には加入が必要でしょう。

でも、冷静に考えてください。

生命保険を使った節税(と言われる手法)って、

・長期間資金が固定化される

・寝かせた資金が元本割れして戻って来る

・返戻金が収益に計上されるので、納税対策でアタフタする

こういう特徴があるものですよね?

もちろん、一時的な株価引き下げを狙って入るなど、明確な目的があれば否定するつもりはありませんが、目先の税金を抑えるために加入している場合がほとんどでしょう。

「実質返戻率」など意味不明な数字を根拠にして説明する保険の営業マンなんて論外だと思います。

こういったミスリードをする保険の営業マンが淘汰され、結果的に会社に資金が残る選択をするのであれば、良い方向だと思います。

そもそも保険とは自分だけでは背負いきれないリスクをみんなで分担するものです。

本来の目的にかなった保険加入が増えるのであれば、保険会社も喜ぶべき変化だと思うんですけどね。

 

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