こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
都市部の方はSuicaなどの交通系ICカードを利用されている方も多いでしょう。
ここでは、交通系ICカード等の会計処理について説明します。
Contents
チャージ=経費はNG
よく見かける処理がチャージした時に「旅費交通費」として入力する方法です。
しかし・・・これは大間違いです!
交通系ICカードは金券と同じような扱いです。
チャージをしたところで、実際には何も買ってないですよね?
例えばアマゾンギフトカードを買ったとしても、ギフトカードが手元にあるだけで実際に何かが購入されている訳ではありません。
Suicaなどの交通系ICカードも全く同じ発想で、経費になるのは実際に電車に乗った時です。
チャージした時に経費として処理をして、
旅費交通費 5,000円
みたいな仕訳が大量にあるとかなり怪しいです。
交通系ICカードはコンビニなどでも使えますし、事業と関係ないものも買っているんじゃない?といらぬ疑いを掛けられるかもしれません。
交通系ICカードの経理処理
経費になるタイミングはご理解いただけたと思いますが、実際にどのように会計ソフトに入力すればよいでしょうか。
考えられる方法が3つあるのでご紹介します。
事業専用の交通系ICカードを持っている場合
事業用の交通系ICカードを作っている場合、そのカードの利用履歴を会計ソフトに取り込んでしまえば処理は完了します。
そのため、楽楽精算などのデータを同期できるツールを使うのもオススメです。
こうすれば、ネットバンクと同じように手で打ち込まなくても入力が完了します。
「コストも掛かるし、そこまでは」という方は、交通系ICカードの利用履歴をエクセルに打ち込んで会計ソフトに取り込む方法でも良いでしょう。
この場合の仕訳は次のようになります。
ポイントは、交通系ICカードの残高を「仮払金」として管理するところです。
(チャージ残高を管理する勘定科目があれば良いので、別の科目を交通系IC用の科目として使っても大丈夫です)
①5,000円チャージした時
仮払金 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
②3,000円利用した時
旅費交通費 | 3,000円 | 仮払金 | 3,000円 |
③決算時の確認方法
5,000円チャージして3,000円使ったので、残高は2,000円です。
会計ソフトの「仮払金」の残高が2,000円になっているか確認します。
事業専用の交通系ICカードを持っていない場合
多くの個人事業主やフリーランスは事業用の移動もプライベートの移動も同じ交通系ICカードを利用しているのではないでしょうか。(私も同じです。)
この場合、移動のたびに使うカードを分けなくても良いと言うメリットはありますが、利用したものを全て経費として処理することはできません。
そのため利用履歴を事業用とプライベートに分ける必要があります。
この場合の処理として、考えられる方法は2つあります。
チャージ残高を管理する場合
①5,000円チャージした時
仮払金 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
②3,000円利用した時
*事業が2,000円、プライベートが1,000円とします
旅費交通費 | 2,000円 | 仮払金 | 2,000円 |
店主貸 | 1,000円 | 仮払金 | 1,000円 |
③決算時の確認方法
5,000円チャージして3,000円使ったので、残高は2,000円です。
会計ソフトの「仮払金」の残高が2,000円になっているか確認します。
チャージ残高を管理しない場合(オススメ)
オススメはこの方法です!
私もそうですが、いちいちチャージ残高を管理するなんて面倒臭くてやってられません。
そのため、残高は管理せずに事業用として利用した分だけ処理することにしています。
その時に使う勘定科目が、店主借(事業主借)です。
「店主借(事業主借)」は、事業主がプライベートのお金を使って経費を支払った時などに使うものです。
つまり、最初から持っている交通系ICカードはプライベートのものと考えて、経費になるものだけ会計ソフトに処理すると言う考え方です。
事業として使ったものだけエクセルに集計しておいて、会計ソフトにその分を入力すればOKです。
①5,000円チャージした時
仕訳する必要はありません。
プライベートのお金でチャージしただけですから、特に処理は必要ありません。
②3,000円利用した時
旅費交通費 | 3,000円 | 店主借 | 3,000円 |
③決算時の確認方法
特に確認事項はありません。
強いて言えば、事業として使ったものの集計が正しいかを確認するぐらいです。
まとめ
確定申告をスムーズに進めるコツは「手を抜く」ことです。
楽楽精算などのツールを使えばそれほど手間を掛けずに処理を進めることができます。
ただ、事業専用の交通系ICカードを作っている人は少ないでしょうから、店主借を使う方法を試してみてください。
重要なのは、「正しい利益が計算できるかどうか」です。
旅費交通費の金額を正しく集計する必要はありますが、チャージ残高まで確認する必要はありません。
(事業用のカードを作っていれば、間違いがないかチェックするという意味でも残高は管理すべきですが。)
無駄な作業は削ぎ落として、サクサク進めて行きましょう!
[…] […]