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NPO法人における役員報酬の注意点〜NPO法の目線と法人税の目線〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

NPOの理事に対して金銭の支払いをする場合、役員報酬として支給する場合と、従業員の給与として支給する場合があります。

「役員報酬」の考え方については、NPO法と法人税法では考え方が異なる部分があり、混乱しやすいところです。

ここでは、NPO法人の役員報酬について、NPO法からの目線と法人税からの目線で解説していきます。

NPO法上の報酬の考え方

まず、NPO法(特定非営利活動促進法)の規定により、報酬を受け取ることができる役員は全体の3分の1以下となっています。(NPO法2条2項)

なお、ここでいう役員とは、理事と監事を含めた人数です。

規定では3分の1「以下」となっていますので、具体的には次のような人数になります。

役員の人数報酬支給可能な人数
4〜5人1人
6〜8人2人
9〜11人3人

*理事は3人以上、監事は1人以上必要なので、役員の最低人数は4人となります。

要するに、小数点以下を切り捨てして判断すればOKです。

これは、NPO法人が利益の分配が禁止されていることと関係があります。

理事へ過剰な役員報酬を支給することは、実質的に利益の分配となる可能性があるため、理事への報酬の支給を制限していると説明されています。

ただし、理事が現場の仕事を担っているNPOも少なくないでしょう。

そのような場合、その理事に対して従業員と同様の基準で給与を支給したとしても、NPO法上の「報酬を受ける理事」にはカウントしません。

NPO法上は、あくまでも理事の職務に対して報酬を支給する場合に制限が設けられており、現場の職務を担う場合の給与については除かれています。

理事への役員報酬の制限が利益の分配禁止の抜け道になることを防いでいるため、労働に対する給与であれば問題がない、ということです。

法人税法上の役員報酬の考え方

役員報酬については税務上で一定の制限があるため、注意が必要です。

支給する上での注意点

役員報酬の注意点は

・決算期間中の報酬額が毎月定額である(「定期同額給与」と言います)

・決算期末から3ヶ月以内に報酬額を変更し、その後定額である(「定期同額給与」と言います)

・賞与を支払う場合は事前に税務署への届出が必要である(「事前確定届出給与」と言います)

という点です。

上記の定期同額給与か事前確定給与に該当しないと、その一部または全額が損金不算入(法人の経費にならない)という不利益が生じてしまいます。

例えば、3月決算のNPO法人で思ったよりも収入が増え、役員報酬を増額した場合、それが7月以降であればその一部が税務上の経費(損金)として認められないこととなります。

また、賞与についても税務署への届出をせずに支給した場合は、その支給額全てが損金として認められません。

なお、この制度は法人の利益操作を防止するために設けられている制度です。

例えば好業績の会社が決算期末直前に役員報酬を引き上げると、法人の利益が減少し、法人税の税収が下がってしまいますよね。

このような税逃れを防止するために設けられているので、NPO法の目線とは全く異なります。

支給金額についての注意点

法人税法では、役員報酬が同種同規模の団体と比べて著しく高額だと認定された場合は、その高額な部分については税務上の経費(損金)として認められないこととなります。

ただし、現実的にはそこまで高額な報酬を設定することは稀だと思いますので、そこまで気にする必要はないでしょう。

NPO法上の役員報酬との違い

役員報酬の注意点は、理事に対して「現場の職員としての給与」を支給する場合です。

特に、代表理事、副理事長、専務理事などの役職者に対しては、どのような名目で支払ったとしても全て役員報酬として取り扱われることとなります。

ここが、NPO法の考え方と異なる部分です。

つまり、定期同額給与か事前確定給与に該当しない場合は損金不算入が発生してしまう、ということです。

整理すると次のようになります

・代表理事、副理事長、専務理事など

給与の性質理事の職務現場の職務
NPO法役員報酬給与
法人税法役員報酬役員報酬

・一般の理事

給与の性質理事の職務現場の職務
NPO法役員報酬給与
法人税法役員報酬給与

理事と現場の職務を兼務する場合の注意点については、こちらの記事で詳しく説明しています。

参考 NPOの理事が従業員と兼務した場合の給与の取り扱い〜定款の設計も重要です〜ソーシャル税理士金子尚弘のページ

まとめ

まずは、NPO法人における「役員報酬」はNPO法の目線と法人税の目線で捉え方が異なることを理解しておきましょう。

その上で、役員報酬を支給する場合には、法人税法上で損金不算入とならないように注意しておく必要があります。

ただし、唯一の例外として、非収益事業部門のみを管轄する理事への役員報酬はそもそも法人税の課税対象外なので、定期同額給与などの考えは気にする必要がありません。

収益事業と非収益事業の両方を管轄している場合には法人税の課税対象部分が発生するので、報酬全体を定期同額給与か事前確定届出給与に該当するように支給しておくべきでしょう。

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