こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
2019年10月1日から消費税率の引き上げと、軽減税率の導入が始まります。
業種によって気を付けるポイントは色々ありますが、今回は「持ち帰りとイートインがある飲食店」について考えてみます。
気を付けるポイントは、①価格、②商品、③オペレーションの3点に大別されるのではないかと。
それでは、一つずつ考えてみましょう。
持ち帰りとイートインの価格を考える
ほとんどのお客さんが税込額=商品の値段と考えて購入するか判断していると思います。
そのため、持ち帰りと店内飲食での価格設定を
・税込額を統一する
・税抜額を統一する
のどちらかを決めておく必要があります。
この判断は
・店内とイートインのバランス
・1円単位の価格設定を行うか
といった辺りを頭に入れながら検討する必要があると思います。
特に券売機方式のお店は1円単位の値段設定は現実的に不可能なので、値付けは悩ましいと思います。
実際に大手の飲食チェーンでも次のように判断が割れています。
【持ち帰りとイートインで税込価格を統一】
ケンタッキー、サイゼリア、松屋など
【持ち帰りとイートインで税抜価格を統一】
スターバックス、モスバーガーなど
特に、税込価格を統一する場合は
現行の税込価格に揃える=イートインの値下げ
イートインの税抜価格を維持=持ち帰りの値上げ
のいずれかとなるため、この戦略も決めておく必要があります。
一歩間違えれば「便乗値上げ?」なんて言われかねませんし、日常使いのお店ほど神経を使いますよね・・・
商品ラインナップを考える
これは、元々の持ち帰りとイートインのバランスや、価格設定をどうするかによって変わることですが、9月までと売上の傾向が変わる可能性も頭に入れておくべきでは、と考えています。
持ち帰り客の割合が増えた場合には
・持ち帰り対応の商品を増やす(持ち帰りに力を入れる)
・店内飲食限定のメニューやサービスを作る(店内飲食をテコ入れする)
など、何かしらの対応をする必要が出て来るかもしれません。
10月以降に売上の変動はどの程度あるのか、売れる商品の傾向に変化はあるか、など今まで以上にチェックする必要があるでしょう。
オペレーションを考える
スタッフの教育を考える
持ち帰りとイートインがある場合、レジで注文を受ける時点でお客さんの意思確認をする必要があります。
そして、お客さんが
「これは持ち帰りだけど、これは店内で食べて行きます」
という注文をすることも考えられますし、
「ごめん、イートインって言ったけどやっぱり持ち帰りで!」
という人もいるでしょう。
レジの操作は一手間増えますし、お客さんとのやり取りも注意しないとクレームの原因になりかねません。
あるいは、大手でも価格設定の戦略がバラバラなので、
「持ち帰りとイートインだと値段は変わるんですか?」
といった質問を受けることも想像できます。
スタッフがレジの操作に慣れることはもちろん、想定問答のようなものを作り、オペレーションがスムーズに回るように準備をしておく必要がありそうです。
経理システムを考える
持ち帰りとイートインが混在するお店は、昔ながらのガチャレジではもう限界かもしれません。
従来の方法では、伝票を集計するなど手計算で売上を管理する必要があります。
今後は消費税率を8%と10%に分ける必要が出るため、ガチャレジ方式では大幅に手間が増えることが考えられます。
伝票を集計する際にも8%と10%の計算間違いが起こる可能性がありますし、レジの集計も面倒になります。
ミスの防止、集計の効率化の面から、持ち帰りとイートインがある飲食店はPOSレジを導入することを本格的に検討すべきだと思います。
2019年9月30日までの購入が条件ですが、POSレジの導入などには補助金制度もあるので、検討してみるのも良いと思います。
参考 【消費税改正】軽減税率対策補助金まとめ〜申請漏れにご注意を〜ソーシャル税理士金子尚弘のページまとめ
飲食店を経営する上では明らかに”コスト>メリット”になるであろう軽減税率ですが、対応しない訳にもいきません。
もっと言えば、お客さんの購買傾向が変わる可能性があるので、「これをチャンスに変えてやる」ぐらいの意気込みが必要なんでしょう。
経営者としては頭痛のタネが増えるだけかもしれませんが、何とか乗り切って行きましょう。
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