こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
2019年10月1日から消費税率が引き上げられ、原則として10月1日以後に引き渡しとなる商品・製品については10%の税率が適用されます。
ただし、雑誌の定期購読契約などについては、特例が設けられています。
ここでは、このような予約販売に係る書籍等の取り扱いについて解説します。
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予約販売に係る経過措置の概要
この経過措置の対象となるものは、不特定かつ多数の者に対する定期継続供給契約に基づき譲渡する書籍その他の物品です。
ただし、
・2019年4月1日までに契約すること
・対価の全部又は一部を2019年9月30日までに受領していること
という条件を満たす必要があります。
これらの条件を満たした場合には、2019年10月1日以降の引き渡しであっても8%が適用されます。
流れを図にすると次のようになります。
主に想定されるものとしては、週刊誌や月刊誌の1年間の購読契約といったものです。
2019年3月31日までに必要な契約とは、雑誌の定期購読契約などであれば、インターネットや葉書で申し込みをして、出版社等に到達した日になると考えられます。
(葉書を投函しただけでは出版社は申し込みの意思確認が出来ず、契約が成立しているとは言えないためです)
ここからは、対象となる条件について、もう少し詳しくみて行きます。
定期継続供給契約とは?
「定期継続供給契約」とは、週、月、年その他の一定の周期を単位とし、おおむね規則的に継続して供給する契約のことを指します。
一般的には週や月で定期的に納品されるものが多いと思いますが、必ずしも週刊誌や月刊誌に限定されている訳ではありません。
また、「不特定かつ多数の者」という条件がありますので、一般に広く募集している必要があります。
例えば、特定のサークル内でのみ販売されるような会報などは対象外になると考えられます。
対象となる書籍その他の商品とは?
主に想定されるのは雑誌などの定期購読契約ですが、対象が書籍「その他の商品」となっているため、書籍以外にも対象となります。
もちろん、他の条件を満たす必要がありますが、
・2019年4月1日までに契約すること
・対価の全部又は一部を2019年9月30日までに受領していること
という条件を満たせば書籍以外でも対象となります。
ただし、現実的には対象となるものは多くはないと思われます。
いくつか例をあげて考えてみみます。
Amazon定期おトク便の場合
Amazon定期おトク便は、一定の商品を定期購入することで割引を受けられるサービスです。
ここでは、食品やコスメ、ペット用品など色々なものを定期購入することができます。
しかし、Amazon定期おトク便はこの経過措置の対象外となると思われます。
ポイントは、お届けのキャンセルが可能という点です。
定期継続供給契約とは、「おおむね規則的に継続して供給する契約」と定められているため、キャンセルが可能であれば「継続して供給」という条件を満たさないと考えられるためです。
私が実際に利用しているsake-takuも注文のキャンセルが可能なので、対象外になると思われます。
キャンセルが可能であれば、実質的にはその都度購入しているのと変わらないという判断になると考えられます。
クラウドファンディングのリターンで定期的に商品を届ける場合
クラウドファンディングは色々なリターンが用意されており、中には「ある商品を毎月お届け」というようなものもあります。
クラウドファンディングも、リターン品に価値があれば商品売買と考えるため、このような場合は経過措置の対象になると考えられます。
(クラウドファンディングは誰でも申し込めますので、不特定多数という条件も満たすと考えられます)
支援金が売上になるか寄付になるかはこちらの記事を参考にしてください。
参考 クラウドファンディングの会計処理・個人編〜売上になる場合と寄付になる場合〜ソーシャル税理士金子尚弘のページ参考・食品の定期購入契約の場合の消費税
仮に、食品などの軽減税率の対象商品がこの経過措置の対象になったとします。
この場合の消費税はどうなるでしょうか?
もちろん8%なんですが、これは経過措置としての8%ではなく、軽減税率としての8%です。
消費税には国税と地方税があり、その割合が異なるのです。
一般の消費者はほとんど関係ありませんが、事業者の場合は同じ8%でも区別する必要があるので、注意が必要です。
【参考】
経過措置の消費税:国税6.3%、地方税1.7%
軽減税率の消費税:国税6.24%、地方税1,76%
まとめ
基本的には雑誌の定期購読契約を想定しているため、具体的な解説も少ないのがこの「予約販売に係る書籍等の経過措置」です。
しかし、きちんと条件を見ていくと、書籍以外も対象となりますし、定期購入の意義もきちんと抑えておく必要があります。
「定期的にお届け」といった契約をしている場合、どのような条件になっているか改めて見直してみるのも良いかもしれません。
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参考 【消費税改正】2019年(令和元年)10月1日実施の消費税改正情報まとめソーシャル税理士金子尚弘のページ
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