こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
2019年10月1日から消費税率が引き上げられますが、9月30日までに代金を支払えば、実際にサービスを受けるのが10月以降であっても8%になる場合があります。
ここでは、電車の乗車券などの旅客運賃等の経過措置をご紹介します。
Contents
対象となる旅客運賃等とは?
事前にチケットを購入しておいて、10月以降に利用する場合は経過措置の対象になります。
厳密な用語では「旅客運賃等」と定義されており、具体的には次のようなものが対象です。
旅客運賃等の具体例
① 汽車、電車、乗合自動車、船舶又は航空機に係る旅客運賃(料金を含む。)
② 映画、演劇、演芸、音楽、スポーツ又は見せ物を不特定かつ多数の者に見せ、又は聴かせる場所への入場料金
③ 競馬場、競輪場、小型自動車競走場又はモーターボート競走場への入場料金
④ 美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場その他不特定かつ多数の者が入場する施設又は場所でこれらに類するものへの入場料金
具体的には、新幹線や飛行機のチケット、定期券、映画の前売りチケット、ライブのチケット、美術館の前売り入場券、テーマパークの前売りチケットや年間パスといったところでしょうか。
例えば、新幹線のチケットは1ヶ月前から購入が可能なので、10月10日に乗る場合でも、9月中に買うか、10月以降に買うかで料金が変わるということです。
具体的な対応はまだ分かりませんが、ライブチケットなどは購入日によって値段を変えるということが難しいと思いますので、税込金額を統一するという可能性が高いのではないでしょうか。
10月のイベントといえば、モントルー・ジャズフェスティバル などがありますが、どういう対応になるんでしょうか。
イメージとしては、次のような流れになります。
経過措置の対象となる場合
基本的な考え方は上記で説明した通りですが、少し紛らわしい場合について補足しておきます。
クレジットカードで購入した場合
例えば、9月にクレジットカードで新幹線のチケットを購入したとします。
この場合、カードの引き落としは10月や11月になると思います。
結論から言えば、この場合も経過措置の対象となり、8%が適用されます。
「支払った」というのはあくまでも運行事業者とお客さんの間の話で、クレジットカードの引き落とし日ではありません。
定期券の場合
定期券は一般的に2週間程度前から購入・更新が可能です。
そのため、9月に購入する定期券の開始日が10月以降ということも考えられますが、そのような場合も経過措置の対象となります。
定期券の場合、最大で6ヶ月の定期券の購入が可能です。
1ヶ月ごとに購入している人でも、増税前に半年分まとめて更新するとお得に定期券が購入できます。
経過措置の対象にならない場合
ICカードへのチャージ
suicaなどへのICカードへのチャージは、あくまでもカードにお金を入れただけで、乗車券の購入ではありません。
経過措置の対象となるのは「乗車券を販売した場合」ですので、9月までにいくらチャージしても、実際に乗車した日の税率で引き落とされることになります。
ICカードへチャージする場合の考え方はこちらをご覧ください。
参考 Suica, manaca, ICOCAなど交通系ICカードの会計処理〜チャージ=経費はNG!〜ソーシャル税理士金子尚弘のページ10月1日以降にチケットを変更した場合
9月中に購入していたチケットを変更した場合、その変更部分については特例の対象ではなく10%となります。
考えられるのは
・9月までに映画の前売りチケットを購入して、10月以降にプレミアシートにランクアップ
・9月までに新幹線の乗車券を購入して、10月以降にグリーン車に変更した
といったような場合です。
ただし、ダウングレードやチケットの変更などで返金がある場合は、8%分の料金で返金されることになります。
ディナークルーズなど
ディナークルーズや遊覧船などは、移動が目的ではなく、食事や観光を楽しむためのものです。
この経過措置の対象となるのは「移動のための乗車券」ですので、ディナークルーズなどは対象になりません。(出発する港と帰ってくる港が一緒ですし)
一方で、寝台列車などは宿泊サービスなどが付加されていますが、移動が目的ですので、経過措置の対象になると思われます。
そのチケットの目的が何なのかを整理して判断する必要があります。
まとめ
消費税の原則は、お金を支払った時点ではなく、物を受け取ったりサービスを受けたタイミングの税率で判断します。
しかし、旅客運賃等では経過措置が設けられており、9月末までに代金を支払えば10月以降にサービスを受けたとしても8%が適用される場合があります。
定期券や新幹線や飛行機のチケットを9月までに購入することでお得に乗車できる場合があるので、予定が分かっていれば早めにチケットを購入した方が良いでしょう。
9月までに経過措置を整理して、正しく判断できるようにしておきたいですね。
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参考 【消費税改正】2019年(令和元年)10月1日実施の消費税改正情報まとめソーシャル税理士金子尚弘のページ
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