こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
最近はワーケーションという言葉を聞くことも増えましたし、ワーケーションを売りにする観光地も増えて来ています。
しかし、ワーケーションをしたからと言って全額を経費にするのはNGです。
経費について正しく認識しておきましょう。
ワーケーションとは?〜定義はあるのか〜
ワーケーションという言葉自体はかなり浸透して来ていると思いますので、「知らない」という人は少ないかもしれませんが、ご紹介しておきます。
JTB総合研究所の定義では
英語のWork(仕事)とVacation(休暇)の合成語。リゾート地や地方部など、普段の職場とは異なる場所で働きながら休暇取得を行うこと。
あるいは休暇と併用し、旅先で業務を組み合わせる滞在のこと。仕事主体と休暇主体の2つの概念が存在する。
となっています。
ざっくり言えば「仕事と旅行を組み合わせてどこかに行く」ってことですね。
明確に「何日以上の滞在がワーケーション」という定義はないと思います。
ワーケーションをしたら経費になるのか?
ワーケーション自体が新しい概念ですし、今のところ「ワーケーションをした場合、必要経費をどう計算するか」といった目安は示されていません。
結論から言えば
仕事に関係する割合に応じて経費になる
ということになると思います。
金子
では、もう少し掘り下げて考えてみましょう。
参考にできそうなものとして、海外視察などを行った場合の取り扱いがあります。
海外視察などの場合は、仕事の合間に観光をすることもあるため、そのような場合にどう経費を計算するかが示されています。
こちらは会社に対して国税庁が定めた基準なので、フリーランスの方に直接当てはまるという訳ではありませんが、参考にはなるんじゃないかと。
この基準では、次のようになっています。
①仕事の割合が90%以上の場合
全額が経費
②仕事の割合が50%以上90%未満の場合
往復の交通費 :全額が経費
現地の滞在費用:仕事の割合分が経費
では、仕事の割合はどのように計算するべきでしょうか?
この計算方法ですが、通常の業務時間(8時間が目安)を1日として、0.25日単位で計算します。
例えば、9時〜13時が打ち合わせ、お昼休憩を挟んで14時から16時までは自由時間、16時から18時は視察といったスケジュールを考えてみましょう。
この場合は0.75日(6時間)が仕事、0.25日(2時間)が観光といった計算になります。
なお、視察などに含まれるものは業種によっても異なりますが、目安としては次のようなものが当てはまります。
・工場や店舗の視察・見学
・展示会、見本市等への参加・見学
・市場調査や研究
・国際会議やセミナーへの出席
・同業者団体や関係官庁への訪問
基本的には、一人で黙々と仕事をするというよりも、視察や展示会への参加など
・どこかに行く
・誰かと面談や会議をする
といったものが対象とされています。
フリーランスがワーケーションをしたら?
海外視察などの基準を紹介しましたが、そのまま当てはまる訳ではありません。
そもそも海外に行く訳ではありませんし、団体で視察などを行う訳ではないので、当然と言えば当然なのですが。
公式な見解などはありませんが、個人的には「仕事」の部分の次のように分けて考えるべきなのかな、と。
・視察や会議、リサーチなどの時間
・一人で黙々と仕事をする時間
視察などについては、上記で紹介した海外視察で紹介されている「仕事」と同じ扱いで良いのではないかと思います。
「そこに行かないとできない」という仕事ですので。
一方で一人での仕事については「その場所でなければいけない」という必然性はないので、性質が異なると思います。
そのため、海外視察での基準を少しアレンジして仕事の割合を計算するのが良いと思います。
まず、滞在時間を
A視察や会議、リサーチなどの時間
B一人で黙々と仕事をする時間
C遊びの時間
に分けます。
その上で
①Aの割合が90%以上
全額が経費
②Aの割合が50%以上90%未満の場合
往復の交通費 :全額が経費
現地の滞在費用:A+Bの割合分が経費
という考え方もあるんじゃないかな、と。
もちろん、デザイナーの方が「景色を見てインスピレーションを得て、宿でがっつりデザインする」みたいな場合は必ずしも「一人の作業」をBとして考えなくても良いと思います。
作家の方が地方に定宿を持っているということもありますし、「場所を離れる必然性」を説明できれば一人時間でもAと同じ扱いでも良いと思います。
私がワーケーション先の宿で税理士の仕事をしても「場所を離れる必然性」はないという判断になるでしょうし、ここは仕事の性質次第です。
まとめ
フリーランスでワーケーションを試したという人もいると思いますが、全額を経費にするのはNGです。
どこまでが「場所を離れる必然性」がある仕事なのかは業種にもよるでしょうが、
・家でもできる仕事を持ち出しただけ
・遊びがメイン
といった場合は全く経費にならないという結論になると思います。
「遊びも経費になる!」みたいな意見はさすがに間違っているので、認識は正しく持っておきましょう。
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参考 フリーランスは「事業主貸」と「事業主借」を理解して正しい経理処理をソーシャル税理士金子尚弘のページ【フリーランスの方へ】
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