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NPO法人が家賃支援給付金を申請する方法〜原則的な方法との違いを解説します〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

2020年7月14日から申請が始まった家賃支援給付金ですが、通常の方法であれば法人税の確定申告書などを添付して申請することになります。

ただ、NPO法人や非営利型の一般社団法人などは収益事業を行っていなければ確定申告義務がありません。

そのため、「NPO法人や公益法人等特例」として非営利型の法人に向けた申請方法が準備されています。

ここでは、NPO法人などが家賃支援給付金を申請する方法を解説します。

なお、原則的な方法での申請はこちらの記事で解説しています。

参考 家賃支援給付金の内容と税金の取り扱いについてソーシャル税理士金子尚弘のページ

対象となる法人

この特例の対象となる法人は次の通りです。

NPO法人、一般財団法人(非営利型のみ)、一般社団法人(非営利型のみ)、学校法人、社会福祉法人、医療法人など

ただし、これらの法人も法人税の確定申告を行っていれば原則的な方法で申請することも可能です。

必要書類

原則的な方法において申請する場合もそうですが、次の情報が分かる資料を揃える必要があります。

・申請する年の売上高

・前年同月、同期間の売上高

・物件の契約情報

・口座情報

・法人格などの情報(NPO特例のみ)

が必要となります。

NPO特例で申請する場合、具体的には次の資料が必要となります。

・売上が減った月・期間の売上台帳など

・前年の同月・同期間の売上がわかる書類

・賃貸借契約書の写し

・家賃の支払い実績を証明する書類

・通帳のコピー

・履歴事項全部証明書または設立の認可が分かる書類

なお、原則的な方法と比較すると次のようになります。

区分原則的な方法NPO特例
申請する年の売上高売上台帳など売上台帳など
前年同月、同期間の売上高別表一、事業概況書月次推移表、活動計算書など
物件の契約情報契約書、支払証明契約書、支払証明 
口座情報通帳コピー通帳コピー
法人格などの情報不要歴事項全部証明書など

原則的な方法で申請する場合との比較

比較する売上の違い

上記でご説明したように、原則的な方法とNPO特例においては、前年同月・同期間の売上を証明する書類が異なります。

原則的な方法の場合、事業概況書を添付することになるので、収益事業の収入で比較することになります。

一方で、NPO特例の場合は非収益事業を含めた全ての収入で比較することになります。

原則的な方法の方がスムーズに審査が進むと思われるので、原則的な方法で条件を満たす場合には原則的な方法で申請する方が良いのではないかと思います。

申請方法が違っても給付額は同じ

いずれの申請方法であっても受給される金額に変わりはありません。

計算のベースになる家賃については収益事業に利用しているかを問わず、支払っている家賃総額で判断することになります。

申請額の計算方法については原則的な方法を解説した記事でご説明しています。

家賃支援給付金は課税されるか

NPO法人などが家賃支援給付金の支給を受けた場合、法人税は課税されるでしょうか?

結論から言えば

収益事業に対応する部分は課税対象になる

と考えています。

この給付金の趣旨目的ですが、「家賃支援給付金給付規定」の第2条に次のように書かれています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い発出された緊急事態宣言の延長等により、売上げの急減に直面する中小法人等にとって土地又は建物の賃料等の負担が特に重くなっている現状に鑑み、これらの中小法人等に対し、事業の継続を下支えするための給付金を給付し、もって賃料等の円滑な支払に資することを目的とする。

給付金の目的として「家賃の支払に資すること」と明記されているので、実質的な家賃補助と同義だと考えられます。

そのため、法人税法基本通達15-2-12の「収益事業に係る収入又は経費を補填するために交付を受ける補助金等」に該当し、収益事業の収入に含めることになると思います。

対象となる物件が全て収益事業のために使われていれば、全額が収益事業の収入になりますし、非収益事業と按分していれば、按分して計上することになると思われます。

まとめ

持続化給付金と同様に、家賃支援給付金でもNPO法人向けの特例が発表されています。

収益事業と非収益事業の収入状況によって、いずれかの方法でのみ条件に合致するという場合もあると思います。

まずはそれぞれの申請内容を整理し、申請が可能であればしっかり申請するようにしましょう。

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参考 NPO法人が持続化給付金を申請する場合の注意点ソーシャル税理士金子尚弘のページ

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