所得税と住民税では、扶養控除の対象が16歳以上となっています。
平成23年(住民税は平成24年)から変更された訳ですが、これは子ども手当の創設や高等学校授業料の実質無償化に伴って改正されました。
「税金以外のサポートを増やすから、税金は増税するね」ということです。
しかし、年末調整の扶養控除申告書には16歳未満の扶養親族を記入する欄があります。
扶養控除が受けられないのに何で書かなきゃいけないの?
って思いますよね。
しかし、これにもちゃんと理由があるんです。
住民税の扶養控除はどうなっている?
先ほどの書きましたが、所得税と住民税の扶養控除については、平成23年(住民税は平成24年)から変更となっています。
改正前後の扶養控除については以下の通りです。
改正前 扶養控除額(所得控除) | ||
区分 | 所得税 | 住民税 |
年齢16歳未満 | 38万円 | 33万円 |
年齢16歳以上19歳未満 | 63万円 | 45万円 |
改正後 扶養控除額(所得控除) | ||
区分 | 所得税 | 住民税 |
年齢16歳未満 | 廃止 | 廃止 |
年齢16歳以上19歳未満 | 38万円 | 33万円 |
16歳未満の扶養控除が廃止され、16歳以上19歳未満の扶養親族についても所得控除の金額が縮小されました。
こうなると、16歳未満の扶養親族の情報は不要になると思うかもしれませんが、扶養控除とは別の制度があるため、記入する必要があるのです。
住民税の非課税世帯とは?
扶養控除の改正で税負担が重くなる人が増えましたが、これとは別に一定の場合に住民税を非課税にする制度があります。
具体的には、次のいずれかに該当する場合には、住民税が非課税となります。
・生活保護法によって生活扶助を受けている場合
・障害者、未成年者、寡婦または寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下の場合
・扶養家族がなく、前年中の合計所得金額が*35万円以下の場合
・扶養家族があり、前年中の合計所得金額が次の金額以下の場合
*35万円×(扶養家族の数+1)+21万円
*名古屋市の場合です。自治体によって所得金額の要件が異なります。
例えば、扶養家族が3人の場合は
35万円×(3+1人)+21万円=119万円(給与収入のみの場合、年収約195万円)
以下の場合は住民税が非課税となります。
ここで言う「扶養家族」とは、控除対象配偶者や扶養親族(年齢16歳未満の人を含む)をいいます。
控除対象配偶者や扶養親族とは、生計を一にする配偶者やその他の親族で前年中の合計所得金額が*38万円以下の人のことをいいます。
*給与収入のみであれば103万年以下
この判定をするには、16歳未満の親族も含めて人数と所得を把握する必要があります。
そのため、扶養控除申告書に16歳未満の親族も記入して分かるようにしておかないといけません。
(2018年12月17日追記)
2019年の税制改正大綱で住民税の非課税世帯の要件に未婚のひとり親(配偶者が生死不明の場合も)で児童扶養手当の支給を受けている子どもがいる場合が追加されることとなりました。(平成33年分の住民税から)
なお、対象となるのは前年の合計所得金額が135万円以下の場合に限られますので、給与所得の場合は年収225万円以下が対象となります。
まとめ
扶養控除の対象じゃないのに、16歳未満の扶養家族の情報を記入する必要があることがお分かりになったでしょうか?
なお、住民税非課税世帯になると、給付金の受給や健康保険料の減免、高額療養費の減免などの措置もあります。
例えば、消費税が8%に引き上げられた時には臨時福祉給付金として住民税非課税世帯へ給付が行われました。
きちんと判定できるように、16歳未満の親族であっても記入漏れがないようにしておきましょう。
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