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源泉所得税の仕組みとは?〜「個人事業主は必ず源泉される」は間違い〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

源泉徴収ってご存知ですか?

会社員であれば、お給料から天引きされるアレです。

事業主であれば毎月(もしくは半年に一度)税務署に納めている、という方もいらっしゃるでしょう。

多くの人が関わっている制度ではありますが、誤解をしている方も結構いるように感じています。

例えば、「個人事業主だと必ず源泉徴収が必要」と思っている方もいるようですが、これは間違いです。

この記事では源泉徴収の基本的な仕組みとルールについて解説していきます。

源泉徴収は「税金の前取り」〜基本的な仕組みについて〜

源泉徴収とは、一言で言うと「税金の前取り制度」です。

会社がお給料を支払う時に一定額を源泉徴収をして、その金額を会社が税務署へ納めると言う流れです。

この源泉徴収と年末調整のお陰でサラリーマンの多くは確定申告をしなくても税金をきちんと納められています。

この源泉徴収した金額を、基本的にはお給料を支払った翌月の10日までに納付することになります。

例えば、お給料が200円、源泉所得税・住民税・社会保険料をそれぞれ10円ずつ天引きして支払ったとしましょう。

源泉所得税と住民税は翌月10日まで、社会保険料は翌月末日までに納めることになります。

源泉所得税と住民税は天引きした額をそのまま納付します。

なお、社会保険料は会社も負担する金額があるので、従業員から天引きした額の約2倍を納めることになります。

源泉徴収をしなくてはならない人は?

源泉徴収が必要な支払いが発生した場合には、源泉所得税を引いて支払いをして、徴収した分を税務署へ納付する必要があります。

源泉徴収をしなくてはいけない事業者を「源泉徴収義務者」といいます。

この源泉徴収義務者に該当するのは次の場合です。

・法人(株式会社、合同会社、NPO法人、一般社団法人など法人形態は問いません)

・個人事業主で従業員を雇用してお給料を支払っている人

そのため、

・個人事業主で従業員もいない

という場合は源泉徴収義務者には該当しません。

源泉徴収が必要な支払いとは?

源泉徴収義務者に該当する場合、お給料や個人事業主に対して源泉徴収をしなくてはいけません。

重要なのは、源泉徴収が必要なものと、不要なものがあるという点です。

「フリーランスの報酬は源泉徴収が必要」と思っている人も多いようですが、これは間違った理解です!

お給料の場合は例外なく源泉徴収が必要ですが、個人事業主への支払いは依頼する仕事の内容によって異なります。

【源泉徴収が必要な支払い】

個人事業主に対して次のような支払いをする場合は源泉徴収が必要です。

・税理士、弁護士など士業への報酬(行政書士は不要)

・ライターへの原稿料

・講演などの報酬

・デザイナーへのデザイン料

・翻訳家や通訳への報酬

など。

詳細は国税庁のHPをご確認ください。

源泉徴収が必要ない個人事業主に対して源泉徴収をしていた、という例も珍しくありません。

請求書を発行する個人事業主が勘違いして、源泉徴収が必要ないにも関わらず源泉徴収の金額を記載した請求書を発行している場合もあります。

仕事を発注する側もきちんと整理しておきましょう。

いくら源泉徴収をすれば良いか?

源泉徴収が必要な支払いに該当する場合、いくら源泉徴収すれば良いでしょうか?

お給料の場合は、源泉徴収税額の一覧表があるので、それに当てはめて計算します。

(給与計算ソフトを使っている場合は自動計算されますので、甲欄か乙欄かだけ気にしておけば良いでしょう。)

個人事業主への報酬ですが、基本は報酬額の10.21%と覚えておけば大丈夫です。

【主な例外】

・司法書士への報酬:(報酬額 – 10,000円)×10.21%

・一回の支払額が100万円を超える場合:100万円を超える部分は20.42%

源泉徴収をした事業主は、その金額を翌月の10日までに税務署へ納付します。

(納期の特例の届け出をしている場合は1月と7月の半年ごとにまとめて納付します)

まとめ

源泉徴収の基本的な部分について説明をしました。

・報酬を支払う側は「自分は源泉徴収義務者なのか」を理解する

・報酬を請求する側は「自分の報酬は源泉徴収が必要なのか」を理解する

まずはこの2点をきちんと整理しておきましょう。

従業員を雇ったり、個人事業主と取引があると源泉徴収が関わって来ます。

支払いが遅れたりすると罰金が課される場合もあるので、預かった源泉所得税はきちんと期限を守って納付することも大切です。

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