こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
中小企業にとっては定番とも言える「小規模事業者持続化補助金」ですが、平成30年度の予算まではNPOは補助の対象外となっていました。
しかし、令和元年度の補正予算から一定のNPOも補助対象となることとなりました。
今回はNPO向けに小規模事業者持続化補助金についてご説明します。
Contents
小規模事業者持続化補助金ってどんなもの?
補助金制度の概要
ざっくり説明すると
小規模事業者が行う販売促進や業務効率化のための投資の2/3(上限は50万円)を補助するもの
です。
細かい要件を見る前に、、この補助金の目的を確認しておきましょう。
本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、小規模事業者等の地道な販路開拓等の取組(例:新たな市場への参入に向けた売り方の工夫や新たな顧客層の獲得に向けた商品の改良・開発等)や、地道な販路開拓等とあわせて行う業務効率化の取組を支援するため、それに要する経費の一部を補助するものです。
(令和元年度の公募要項より抜粋)
概要にも販路開拓や業務効率化を支援すると書かれていますよね。
そのため、これらの目的に関係する投資であることが大前提となります。
具体的な例示は公募要項にも記載されており、
①機械装置等費、②広報費、③展示会等出展費、④旅費、⑤開発費、⑥資料購入費、⑦雑役務費
⑧借料、⑨専門家謝金、⑩専門家旅費、⑪設備処分費、⑫委託費、⑬外注費
となっています。
色々な項目が書かれていますが、より具体的な例は次のようなものが挙げられています。
・機械装置等費
高齢者・乳幼児連れ家族の集客力向上のための高齢者向け椅子・ベビーチェア、衛生向上や省スペース化のためのショーケース 、新たなサービス提供のための製造・試作機械など
・広報費
ウェブサイト作成や更新、チラシ・DM・カタログの外注や発送費用、広告掲載料、看板作成・設置、試供品の購入、作成費など
・旅費交通費
情報収集や調査、販路開拓のための旅費(公共交通機関のみが対象)
・雑役務費
補助事業に関連する業務を行うために臨時雇用したアルバイト等の人件費・交通費
などとなっています。
より詳細な例示については公募要項を確認してください。
使い勝手が良いのは広報費で、ホームページの作成や更新、集客用ツールの作成など販売促進に関連する経費として幅広く認められています。
具体的な申請方法
団体が所在する地域の商工会議所(または商工会)を通じて申請することとなります。
申請書の様式などは公募要項を確認してください。
対象となるNPOの条件は?
小規模事業者持続化補助金の対象となるのは、
・収益事業を行っている
・認定NPOではない
・従業員数が20人以下である
という条件を満たすNPOです。
まず、収益事業を行っているという条件ですが、「税金を納めてなければ補助金は出さないよ」ということでしょう。
補助金の財源は税金ですし、まぁ仕方がないのかな、と思います。
次に、認定NPOが除外されているのは、みなし寄附金の制度が関係していると考えられます。
みなし寄附金とは、認定NPOが収益事業の資金を非収益事業へ移した場合、一定額を収益事業の損金として認めるという制度です。
つまり、収益事業で補助金を受け取ったとしても、みなし寄附金の制度を使えば課税を回避できる可能性があるため対象から除かれていると思われます。
最後に、従業員数ですが、理事はカウントせず、あくまでもスタッフとして雇用している人数で判定することとなります。
(理事兼職員という場合は含めてカウントします)
補助金申請をする際の注意点
補助金を申請・受給するにあたって頭に入れておいて頂きたいのは
・自己負担が発生するので、必要な経費を吟味すべき
・補助金は収益として課税対象となる
・申請自体に手間がかかる
といったところです。
自己負担が発生するので、必要な経費を吟味すべき
補助率は2/3ですので、1/3は自己負担が発生するということです。
もちろん、2/3の補助は大きいのですが、「補助金があるからこれを買おう」という発想ではなく、「必要な投資が補助対象になるので申請しよう」という考え方が望ましいでしょう。
いくら補助があるとはいえ、無駄な買い物であれば元も子もありません。
補助金は収益として課税対象となる
えぇ、補助金なのに税金が掛かるの?
と思われるかもしれませんが、課税対象となります。
とは言え、使った経費の2/3が補助されるだけなので、トータルでプラスになる訳ではありませんが、決算書上は「雑収入」などとして経理して、きちんと収益として申告する必要があります。
この点は誤解されがちな点ですので、注意してください。
申請自体に手間がかかる
この補助金は商工会議所(または商工会)の助言などを受けて事業を実施すること、と決められています。
つまり、地元の商工会議所(または商工会)に相談をした上で事業計画や申請書類を作成する必要があるということ。
もちろん、有意義なことではありますが、申請までそれなりの手間が掛かることは理解しておきましょう。
まとめ
今回の予算からNPOも対象となったことは非常に大きな進歩だと思います。
取り組みたい活動があるのに予算的に厳しかったというNPOはぜひ利用を検討してみてください。
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