こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
個人事業主の方などを対象に経理のイベントなどもやっているのですが、そこで経理や税金のミスが発覚する場合もあります。
申告前に気付けば会計ソフトや申告書を直せば良いだけですが、申告後に判明すると少しややこしい手続きが必要になります。
特に2023年からはインボイス制度が導入され、初めて消費税の申告をしたという人も多いと思います。
今回は、消費税の申告で間違いが出やすいポイントと、間違いがあった場合の対応について解説します。
Contents
補助金や個人輸出は要注意
会計ソフトで売上や雑収入として登録すると、消費税区分で「課税売上」が最初に表示されるケースが多いです。
ただ、消費税が課税されない取引もあるため、会計ソフトに登録する際に消費税区分を変更しないと消費税の計算を間違えてしまうことがあります。
過去に多くの方の経理相談に乗って来ましたが、本来は消費税が課税されないものを課税取引として登録していたケースは結構あります。
多くある間違いとして
・補助金を課税取引としていた
・輸出取引を課税取引としていた
といったものがあります。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
補助金などを課税取引として申告
補助金や助成金は、消費税の対象にはなりません。
個人事業主などでよく受給しているのは
・IT導入補助金
・小規模事業者持続化補助金
・自治体独自の補助金(スタートアップや一定の設備投資に使えるもの)
があります。
しかし、これを誤って課税取引として申告してしまうケースもあるんですよね。
具体例として、110万円の補助金を誤って課税取引として申告した場合を見てみます。
2割特例を適用すると、消費税額は2万円(10万円 × 20%)過大に計算されてしまいます。
(消費税率は10%なので、会計ソフトでは110万円には10万円分の消費税が含まれるという計算が行われます)
しかし、本来は補助金に消費税は含まれないため、この2万円は払う必要のない税金ということになります。
輸出取引を課税取引として申告
個人でもeBayなどを使って個人輸出を行っている方もいます。
例えば、国内で店舗を運営しながら、在庫の一部を個人輸出しているケースを考えてみましょう。
輸出取引などは免税取引として扱われるため、課税取引として誤って申告することで、消費税が過大に計算されてしまいます。
具体例として、輸出取引で220万円の売上があり、これを誤って課税売上として申告した場合を見てみましょう。
2割特例を適用すると、消費税は4万円(20万円 × 20%)過大に計算されてしまいます。
こちらも本来は払わなくて良い税金ということになります。
何を見たら分かるのか
会計ソフトを見返して、補助金や輸出売上の仕訳を確認してみましょう。
その際に「課税売上」などの消費税区分になっていれば、誤って申告している可能性が高いです。
一方で「対象外」や「不課税」といった消費税区分になっていれば正しく申告できていると思われます。
消費税を納めすぎたら更正の請求を
上記でご紹介したような消費税の納め過ぎが発覚したら、更正の請求という手続きを行うことで消費税を還付してもらうことができます。
更正の請求とは
更正の請求は、過大に申告した税額を正しい金額に修正し、払い過ぎた税金を返還してもらうための手続きです。
先ほどの例で言えば、補助金110万円を課税取引とした場合には2万円、輸出売上220万円を課税取引としていた場合には4万円が払い過ぎということになります。’(2割特例の前提です)
実際の手続きとしては、更正の請求書という資料を作成し税務署へ提出することになります。
手続きは書面でもe-taxでも可能ですが、実際には税務署に対して
・何が誤っていたのかを説明する
・その誤りを証明する資料を提出する
といったことが求められるケースがほとんどです。
そのため、税理士に相談した上で対応するか、税務署の窓口で相談し、どのような資料を準備したら良いか確認しながら進めるのが良いと思います。
まとめ
インボイス制度が導入前は消費税の申告がある個人事業主は売上が1000万円を超えるケースがほとんどでしたので、税理士に依頼するか商工会などの指導を受けているケースが多かったです。
しかし、インボイス制度導入後は小規模の個人事業主でも消費税の申告をするケースが増え、誰にも相談できないままとりあえず申告したという方もいらっしゃると思います。
間違えて消費税を払い過ぎていたのであれば非常にもったいないので、補助金や個人輸出などに当てはまる方は改めて会計ソフトや消費税の申告を見直してみて下さい。
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