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最低賃金の引き上げって誰のため?〜今の制度じゃもう限界だと思うのです〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

201910月より全国で最低賃金の引き上げがあります。

最低賃金で雇用している人がいる場合は最低賃金を下回らないようにチェックをしておくべきでしょう。

ここ最近は賃上げはよく話題にのぼるテーマとなっており、最低賃金の引き上げなどルール面もそうですが、所得拡大促進税制など税制面での後押しも行われています。

政権としても賃上げの成果を強調していますが、個人的にはこの最低賃金の引き上げはどの程度の効果があるのか疑問があります。

最低賃金の引き上げと、これからの共働きについて考えてみたいと思います。

最低賃金引き上げの問題点

最低賃金で雇用していない場合でも、全国的に時給は上昇しており、人材を確保するためにアルバイトやパートの時給を引き上げていると言う会社も多いと思います。

ここで困るのが、扶養の範囲内で働きたいと言うパートさんや学生アルバイトが12月にシフト調整をするという問題です。

子どもの扶養(扶養控除)の場合は103万円を超えたら控除が受けられませんが、奥さん(配偶者控除)の場合は103万円を超えても配偶者特別控除があるので、少し超えたからといってゼロになるわけではありません。

ただ、旦那さんの会社での扶養手当の支給条件が103万円で設定されていてる場合もあり、103万円に抑えたいという声も多いとか。

この扶養手当が関係ないとしても、130万円(大企業では106万円)を超える場合は社会保険の加入義務が発生するので、それを嫌って勤務時間を抑える人もいるようです。

最低賃金が上昇すると、103万円に達するまでの勤務時間が減少することになります。

例えば、時給800円では月に108時間ほどですが、時給1000円では月に86時間ほどで103万円に到達します。

その差は月に22時間。ここ数年の時給上昇で、パートさんが月に4〜5日勤務を減らしている可能性があります。

このように、扶養控除や社会保険の上限が変わらないために一人当たりの勤務時間が減少してシフト組みが大変になるという問題が。

これって何か考えないといけないんじゃないの?

働く側も扶養を続けるかを考えるタイミング

「働く側としては時給が上がるので良いんじゃない?」と思われるかもしれませんが、扶養の範囲で働く事はメリットだけではない可能性があります。

まず、物価が上昇傾向にあるということです。

原材料の高騰等で値上げをしている商品も多くなっていますし、201910月からは消費税が増税されます。

それに、今後も物価上昇やさらなる消費税増税の可能性はゼロではありません。

そうなると、将来的に旦那さんが正社員、奥さんが103万円以下のパートという働き方がベストなのかは考えた方が良いでしょう。

(奥さんが正社員、旦那さんが扶養というパターンもありますが)

収入を抑えている理由が、手当があるから、配偶者控除があるから、という理由だけであれば、目の前の餌に惑わされているだけということも

場合によっては、扶養から外れても奥さんの収入を大きく増やす働き方がベストなのかもしれません。

長期的な目線で、夫婦でそれぞれがどのような働き方をするかをきちんと話し合ってみるのはいかがでしょう?

夫婦の働き方像は多様化している〜現代にマッチした制度作りを〜

そもそも、配偶者控除は旦那は正社員・奥さんは専業主婦という家庭を前提の制度でいわゆる「内助の功」を税制に反映させたものです。

配偶者控除の成り立ちや現行の制度の解説はこちらをご覧ください。

参考 103万円の壁はもう古い、平成30年分の配偶者控除について。ソーシャル税理士金子尚弘のページ

この正社員と専業主婦という構図ですが、以前は典型的な家庭像だったかもしれませんが、今や共働き世帯の方が多くなっています。

出所:厚労省「配偶者手当を取り巻く環境について

なお、共働き世帯の中には奥さんの収入が103万円以下の世帯も含まれています。

もちろん、税制面の制約以外の理由で働く時間を抑えている人もいると思います。

ただ、税制や社会保険、そして旦那さんの会社の扶養手当などの理由から103万円の壁がいまだに意識されているのも事実だと思います。

「時給だけが上昇して、配偶者控除や社会保険の扶養の上限がそのまま」というのはシフトなどの面で職場に歪みを起こしています。

配偶者控除については、103万円を超えたとしても夫婦の手取りで損をしない仕組みになっていますが、社会保険の扶養については問題が多く、廃止でもいいんじゃないかと。

今の社会保険の制度では、

旦那が正社員・妻がパート:扶養になれる

旦那が個人事業・妻がパート:扶養になれない

という旦那さんの働き方によっても社会保険料の負担が左右されるという問題があります。

働き方が多様化していく中で本当に今の制度が合理的なのか、そろそろ本格的に考えた方が良いのでは?と思ったり。

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