こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
もはや毎年恒例になりつつある住民税非課税世帯への給付金がまた決定しそうです。
報道によると住民税非課税世帯へ3万円の給付金を支給し、対象が子育て世帯の場合は2万円を追加するそうです。
総務省の統計によると日本の総世帯数は約5400万世帯です。
そのうち住民税非課税世帯は約1500万世帯に上り、全世帯の約4分の1を占めます。
どうでしょう?結構多いと思いませんか?
しかし、次のデータを見ると納得かもしれません。
2022年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の高齢者世帯は全世帯の約18.11%で、約980万世帯と推計されます。
このデータから、住民税非課税世帯のうち約3分の2が高齢者世帯と推計されます。
高齢者層が給付金の大部分を受け取る仕組みになっている背景には、住民税非課税世帯の仕組みそのものの問題があると思っています。
今回はこの辺りを説明していければと。
住民税非課税世帯でも裕福な人は沢山いる
住民税は所得をベースに計算をするため、所得が少なければ住民税非課税世帯になるという仕組みです。
しかし、所得が少なくても資産を多く持つ世帯が存在します。
例えば、株式や投資信託を保有し、配当収入や売却益で年金以外にも収入がある高齢者ですね。
この場合、特定口座で運用していれば申告不要の制度が使えるので、資産運用の収入は所得に一切含まれません。
こうした世帯も住民税非課税世帯に含まれるため、金融資産を活用して十分な生活を送れるにもかかわらず、給付金の対象となるケースが結構あります。
また、FIRE(早期リタイア)を達成した現役世代も同様です。
彼らは資産運用の収入で生活している場合が多く、給与などの所得がないため住民税非課税世帯となることがあります。
こういった例のように、困窮しているどころか裕福な世帯も制度上は住民税非課税世帯になるケースは結構あるんですよね。
こういった保有資産などを無視して給付金を支給することは、公平性に欠けるでしょうし、資産残高なども含めて支給対象を絞り込むべきでしょう。
何なら、ギリギリ住民税が発生している世帯の方が生活に困っているケースなんて山ほどあると思いますよ。
現役世代からすると、「自分たちの税金が、本当に必要としていない人々にも使われているのではないか」と思ってしまいますし、働いたら負けみたいな感覚になるのも分かります。
こんなことを続けると日本が終わる
給付金制度から生まれる不公平感は、働く現役世代には明らかにマイナスでしょう。
多くの現役世代はサラリーマンであり、給与収入はほぼガラス張りでしっかり課税されています。
こういった現役世代が「働いたら損」という感覚を持ってしまうと、勤労意欲も下がりますし、日本経済にとってマイナスでしょう。
「自分が働いて納めた税金が困窮していない人々に給付される」という状況は、労働者のモチベーション低下を引き起こします。
社会全体で「働かない方が得をする」という雰囲気が広がれば、現役世代の若者にとっても将来への展望が暗くなりますし、イノベーションなんて生まれないでしょう。
これはどう考えても日本社会にとって重大な損失です。
現在の所得基準だけではなく、そろそろ資産状況や生活の実態を総合的に判断する仕組みを導入すべきだと思うんですけどね。
マイナンバーが導入されて何年も経つのにまともに使われていないじゃないですか。
特に金融資産を考慮に入れた支援策を導入することで、本当に支援が必要な人々へ給付金を届けることが可能になるはずです。
現役世代への負担感や不公平感が軽減されれば、勤労意欲も上がり「もっと稼げるように頑張ろう」と思えるのではないでしょうか。
まとめ
このように、現在の給付金の枠組みは大きな不公平を抱えた制度になっています。
現在の所得基準だけではなく、資産状況や生活の実態を総合的に判断する仕組みに移行するべきでしょう。
個人的にはマイナンバーで銀行口座などを紐付けて資産残高を含めて支援策を決定すべきだと思っています。
そもそも庶民であれば資産を把握されたところでデメリットなんてほぼ存在せず、不公平な制度が是正されるなら私は喜んで賛成しますよ。
真面目に働く現役世代が報われる仕組みを作ることが、これからの日本の成長にとって不可欠でしょうし、「国に資産を把握されるなんてとんでもない!」という気持ちだけの批判はもう止めましょう。
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