こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
個人事業を法人化する場合、色々と気をつけることがありますが、重要なポイントを絞って説明しようと思います。
(株式会社または合同会社を前提に説明しています)
実際に法人化を検討される場合は、それぞれの状況に応じて具体的に検討するべきですので、税理士へご相談されることをお勧めします。
ここでは、個人と法人でどんな点が違うのか?という目線で基本的な部分をご説明します。
Contents
社長と会社は別物
まず、大前提として個人事業から法人化をすると、「社長と会社は別物の存在」になります。
仮に誰も従業員を雇わない「一人会社」であっても同じです。
分かりやすい例をいくつかご紹介します。
会社からお給料を受け取ることになる
個人事業であれば、売上たお金は自分のお金なので、貯めるも使うもあたな次第です。
大きな仕事を取った後にパーッと使うことも自由にできます。
「お金が自由だ」という点は個人事業の大きなメリットでしょう。
一方で、法人化をすると会社からお給料(役員報酬)をもらうことになります。
法人化すれば、事業主が社長になることがほとんどですが、役員の場合、このお給料は基本的に毎月定額で支払うことになります。
口座から自由にお金を出し入れしていた個人事業と比べると「窮屈だ」と感じる人もいるが結構いたりするんですよね。
でも、会社はあなたそのものではありません。
売上たお金は会社のお金です。
あなたはそこからお給料を貰うということを理解しておきましょう。
個人事業で使っていた設備は、会社に売るor貸すことになる
個人事業であれば、あなたの仕事にあなたが持っている設備を使うことになるので、それを経費として処理すれば良いだけです。
いたってシンプルですよね。
ただ、法人化をする場合、会社が仕事で使うことになるので、
・設備を会社に売却する
・設備を会社に貸す
のいずれかの方法で会社に使ってもらうことになります。
あくまでも社長と会社は別物です。
他人の設備をタダで使うなんて変ですよね?
特に不動産などを所有している場合は、動き金額も大きくなるので、注意する必要があります。
自宅を事務所にしている場合や、設備をたくさん保有している場合は一人で判断せず、税理士に相談することをオススメします。
国民年金から厚生年金になる
個人事業であれば国民年金と国民健康保険に加入しているはずです。
しかし、法人化すると厚生年金に加入し、健康保険も(一般的には)協会けんぽという法人向けの健康保険組合に加入することになります。
個人事業主であれば、個人が国民年金と国民健康保険を納めることになります。
しかし、法人化すると、
①会社が個人から保険料を天引きする
②会社は、個人負担分+会社負担分の保険料を納める
という流れになります。
実は、会社も社会保険料を負担しているんです!
保険料の目安ですが、年金と健康保険を合わせて
個人負担(お給料の15%程)+会社負担(お給料の15%程)
となり、お給料の30%程の保険料を納めることになります。
月のお給料を30万円にすれば、9万円ほどの保険料が必要になるということです。
消費税の計算がリセットされる
個人事業で売上が1000万円を超える場合は消費税の納税をされていると思います。
消費税は、2年前の売上が1000万円を超えると納税が必要になるためです。
ただし、法人化すると消費税の計算がリセットされます。
つまり、設立初年度は2年前の実績はないので、消費税は免税となります。
(ただし、資本金を1000万円以上で設立した場合などは消費税は課税されます)
設立2期目も2年前の実績はありませんが、
「設立から6ヶ月の期間の売上高または人件費の額が1000万円を超える」
という条件を満たすと設立2期目は消費税が課税されることになります。
言い方を変えれば、売上高か人件費のどちらかが1000万円以下であれば2期目も消費税は免税ということになります。
初年度から売上が大きくなる場合でも、人件費(特に役員報酬)をセーブすることでクリアできる可能性があるので、検討してみてください。
まとめ
法人化する際には他にも検討すべき事項はありますが、基本的な部分についてまとめてみました。
社会保険や消費税など制度の知識も大切ですが、「会社と個人は別物」という認識を持つことは非常に重要です。
ここの線引きが曖昧になると、結果的に経理処理が面倒になったり、無駄な税金を支払うことにもなりかねません。
特に銀行などから融資を受ける場合には「会社のお金が個人に流れていないか?」という目線でチェックもされるので、きちんと区分しておくことが大切です。
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