こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
コロナ対策の影響で休業や大きな売上減少に直面しているお店も多いと思います。
このような状況で「先払いチケット」を販売するサービスも登場し、これを頼りに資金繰りを繋いでいるお店も少なくないのでは?
でも、個人的には先払いに頼りすぎるのはマズイと思うのですよね。
実際に来店する割合がどの程度かにもよるけど、前売りに頼りすぎず金融機関から長期で借入した方が良い気がする。
前売り券販売で店舗支援 新型コロナ、資金繰りに | 共同通信 https://t.co/Hb8hBrXUJO
— かねこなおひろ@子育て中 (@innovator_nao) April 11, 2020
今回は飲食店などを想定して、先払いチケットに頼りすぎるリスクを考えてみたいと思います。
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先払いチケットは将来の資金繰りが苦しくなる
こんな状況なので、まずは目の前のお金を確保することが第一です。
資金確保のために先払いチケットを使うことは必ずしもNGという訳ではないですが、頼りすぎるのは危険です。
いつになるかは分かりませんが、コロナが落ち着いてお客さんが先払いチケットで来店する日はいずれやって来ます。
お客さんが戻って来ることは有難いことですが、先払いチケットで来店するお客さんからお金を受け取ることはありません。
当然の話なんですが、どこまでそのリスクを考えてます?というお話。
例えば、月の売上が100万円の飲食店で原価率が30%、家賃など固定費が60%、利益が10%のお店だとしましょう。
通常であれば、このような感じで10万円のお金が残ることになります。(カード決済や仕入の掛け払いなどは無視します)
では、先払いチケットの顧客が10%、30%、50%の場合を見てみましょう。
さすがに半分が先払いチケットということはないでしょうが、売上の10%が先払いチケットでは資金はトントン、10%以上になれば逆に支払いの方が多くなってしまいます。
先払いチケットを販売すること自体は戦略としてアリなんですが、通常の売上の何割ぐらい販売するのかは考えておいた方が良いでしょう。
飲食店やゲストハウスの弱点はキャパ
これはサービス業全体に言えることですが、サービス業の弱点は「在庫を持てない」ということ。
飲食店であれば、席数以上にお客さんを入れることはできませんし、ゲストハウスもベッドの数以上に泊めることはできません。
つまり、
1日の最大受け入れ人数×営業日=年間の売上
ということ。
休業や大幅な顧客減少があったとしても、リカバリーできる売上には限界があります。
「コロナが終わったらガンガン稼ぐぞ!」
と言ってもキャパ以上に売上ることはできません。
もちろん、単価を上げるなどやるべきことはやる必要はありますが。
経済が正常化したとしても、年間売上が確実に落ちる前提で資金計画を考えるべきです。
コロナ対策は組み合わせで行うべき
先払いチケット以外にも色々なコロナ対策があるので、組み合わせて考えるべきでしょう。
大きく分ければ
・交付金を貰う
・お金を借りる
・支払いを延ばす(減らす)
といったところです。
交付金を貰う
使える制度としては、「持続化交付金」です。
これは最大で200万円(個人事業は100万円)の補助を受け取れるというもの。
詳細はこちらで解説しています。
参考 新型コロナ対策の「持続化給付金」とは〜対象者や支給条件など〜ソーシャル税理士金子尚弘のページお金を借りる
日本政策金融公庫の特別貸付制度やセーフティネット4号保証を活用すれば、無利息・無担保で融資を受けることが可能です。(無利息の期間は3年間)
いずれは返済が必要になりますが、利息の負担がかなり少なくなっているので、借入で資金を確保することも考えるべきです。
参考 金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の内容まとめ〜対象者は積極的な活用を〜ソーシャル税理士金子尚弘のページ支払いを延ばす(減らす)
そして重要なのは、支払いを延期したり、そもそも経費削減を行うことです。
制度としては納税の猶予や固定資産税の減免措置などが予定されているので、とりあえず支払いを先延ばしにすることも選択肢になります。
(特例で延滞税などの負担は発生しません)
納税猶予などはこちらで説明しています。
参考 新型コロナウイルスによる税制支援策まとめソーシャル税理士金子尚弘のページただ、これはあくまでも支払いを先延ばししているだけで、いずれは払うことになります。
いずれ資金が必要になるため、納税猶予を選択するのは借入金や交付金が入金されるまでの一時的な対応にしておいた方が良いと思います。
そして重要なのは、経費自体を削減するということ。
テナントであれば大家さんに家賃交渉をして少しでも減額できないか交渉することも必要です。
大家さんだってこんな経済状況で退去されたら次の入居者がすぐに決まる保証もありません。
立地や家賃水準にもよりますが、交渉に応じてくれる可能性もあると思います。
とある社長
うーん、その先生が「金額に見合ってないなぁ」と思うなら交渉してみてください。
まとめ
まずは目の前の危機的な状況を乗り切ることが大切ですが、その後のことも考えて動くこともまた大切です。
もはや売上の減少はどうすることもできません。
色々な対策が考えられる中で、何をどう組み合わせるのかが重要になってきます。
そして、答えは状況によって変わるので、専門家などに相談しながら考えることが大切です。
お付き合いのある税理士がいれば税理士に、いなければ商工会などでも相談に乗ってくれます。
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