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税収が過去最大でも好景気とは言えない理由〜バブル期の税金とどう変わったか?〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

2018年度(平成30年度)の税収がバブル期を超えて過去最大になったとのこと。

税収が増える=好景気と思われるかもしれませんが、必ずしもそうとは言えません。

ここでは、税収が増えたことと、その要因について考えてみたいと思います。

バブル期と今の税収はどう変わった?

税金には大きく分けると国へ納める「国税」と地方自治体へ納める「地方税」に分かれます。

過去最大になったのは国の税収ですので、今回は「国税」を取り上げて比較してみたいと思います。

【参考】国税と地方税はどんな税金がある?

国税:消費税、所得税、法人税、相続税、贈与税、酒税など

地方税:法人住民税、個人住民税、地方消費税など

こちらの図は2018年度予算の歳入の内訳です。(単位は億円です)

*財務省「日本の財政の現状と課題」より

予算額なので実際の税収とは異なりますが、国税の中でも税収のトップ3は

・所得税(約19兆円)

・消費税(約17.5兆円)

・法人税(約12.1兆円)

だということが分かります。

相続税が話題になることも多いですが、税収は約2.2兆円でトップ3の足元にも及びません。

続いて、バブル期(平成2年・1990年度)の税収についてみて見ましょう。

こちらは国税の税収トップ3の推移です。

赤枠で示したところが平成2年のデータですが、

・所得税(約26兆円)

・法人税(約18.4兆円)

・消費税(約4.6兆円)

となっており、所得税が飛び抜けてトップで、消費税は今よりもかなり少なくなっています。

一言に税収と言っても、このように内訳はかなり変化しています。

なお、下段のカッコ内は税収に占める割合です。

税目平成2年平成30年
所得税26兆円

(43.2%)

19兆円

(32.1%)

法人税18.4兆円

(30.6%)

12.2兆円

(20.5%)

消費税4.6兆円

(7.6%)

17.5兆円

(29.7%)

消費税は税収に対して平成2年では7.6%だったのが平成30年では29.7%と大幅に増加していることが分かります。
所得税と法人税は税収に占める割合が10%以上少なくなっているので、税収のバランスが大きく変わっていますよね。

【補足】所得税の税収について

平成元年から株式の譲渡益に対して課税されるようになりました。(それまでは無税)

そのため、平成元年からの所得税の税収の伸びは税率や景気以外に税制そのものの影響も含まれていると考えられます。

税率も大きく変化している

税収については先ほど確認しましたが、税率についても確認してみましょう。

税目平成2年平成30年
所得税*50%45%
法人税37.5%23.2%
消費税**3%6.3%

*所得税は最高税率です。

**消費税は国税6.3%、地方消費税1.7%の合計8%です。

このように、バブル期と今では税率がかなり変化しています。

景気に左右されにくいと言われる消費税の税率が引き上げられていますし、消費税率アップが大きく影響していると考えられます。

一方で、所得税と法人税は引き下げられており、直接税から間接税にシフトしていることが分かります。

また、法人税率の引き下げ幅は所得税に比べて大きくなっており、法人から個人へ財源を求めていることも分かります。

まとめ

このように、バブル期と比べると税収のバランスは大きく変わっていますし、税率もかなり変化しています。

ポイントとしては

・消費税率の引き上げ&法人税率の引き下げで消費税が税収の主役に

・法人税率引き下げで、税の負担者は個人にシフト

といったところでしょうか。

「税収が過去最大」と報道されると景気が良いの?と感じるかもしれませんが、税制そのものが変わっているので、単純に比較はできません。

ただ、消費税を筆頭に「負担した税金が増えている」ということは多くの人に当てはまるのではないでしょうか。

これで消費税が10%に上がれば、もっと税収は増えるでしょうね・・・

また近々最高税収を更新するのでしょうか。

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