こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
昨年末にこんなニュースが飛び込んできました。
オリエンタルラジオの中田さんがシンガポールに移住をするとか。
一部では「税金対策なのでは?」という声もあるようですが、実際のところはどうなのでしょうか?
もちろん税金以外にも色々な要素はあると思いますが、ここでは日本人のYouTuberがシンガポールに移住したらどうなるかを解説したいと思います。
海外在住の日本人は「日本で稼いだ分」だけ日本に納税
日本の所得税では、日本人をざっくり
・日本に住んでいる日本人
・海外に住んでいる日本人
に分けています。
日本に住んでいる日本人は、海外で稼いだお金に対しても日本の税金が発生します。
この場合、どの国で稼いだかによって、その国の税制に応じて海外でも納税が必要になる場合があります。
そのため、海外で支払った税金を日本の税金から一部差し引くことも可能です。
一方で、海外に住んでいる日本人は、日本で稼いだお金に対してだけ日本の税金が発生します。
もちろん、住んでいる国に税金を支払う必要はありますが、日本で稼いだお金に対して税金が発生するかはその国の制度によってケースバイケースです。
図で整理すると、こんな感じですね。
①日本に住んでいる日本人の課税対象
②海外に住んでいる日本人の課税対象
つまり、YouTuberが海外に移住した場合、その収入が日本で発生したものかどうかで日本に税金を納める必要があるかが変わってくるということになります。
YouTubeの収入は日本なのか、海外なのか
そうなると、YouTuberが海外に移住した場合、YouTubeからの広告収入が日本で稼いだことになるのか、海外で稼いだことになるのかが重要なポイントになります。
結論から言えば、YouTubeからの収入は「海外」という判断になります。
収入が国内なのか海外なのかを判断する基準の一つに「恒久的施設」という考え方があります。
ざっくり言えば、活動する拠点と言っても良いと思います。
YouTubeなどの動画配信サービスは、インターネットにさえ繋がっていれば世界中どこからでもアクセスが可能です。
そのため、視聴者がどこで見ているかは活動拠点とは関係ないということになります。
YouTuberがシンガポールのスタジオで収録し、アメリカにあるgoogleのデータセンターに動画を投稿するという一連の流れの中で、日本に拠点と呼べるものは一つもありません。
つまり、海外に住んでいる日本人YouTuberが広告収入を受け取っても、日本の所得税は発生しないということになります。
住んでいる国では税金を納める必要あり
通常は住んでいる国で撮影をするなり、YouTuberとして活動をしている訳ですので、YouTubeで稼いだ収入は住んでいる国の課税対象になる場合がほとんどだと思います。
税率は国によって大きく異なりますが、シンガポールでは最高税率が22%となっており、同じ所得でも日本より税金の額はかなり少なくなります。
(もちろん、国によっては日本よりも高い税金を納めることになりますが)
オリラジの中田さんなど高所得者がシンガポールに移住する理由の一つに税金があることも理解できるでしょう。
まとめ
日本に住んでいるとあまり考えることのない海外での税金ですが、稼ぐ額が大きくなればそれだけ納税額も変わるということです。
シンガポール移住などで話題に上るのは富裕層が多いので、「大金持ちにしか関係ないんでしょ?」と思われるかもしれませんが、どうとも限りません。
今やサラリーマンの海外駐在は珍しいものではなく、駐在員やその家族がブロガーやYouTuberとして収入を得ることも十分考えられます。
億単位の稼ぎは不可能だとしても、広告収入やアフィリエイトなどで数十万円〜数百万円程度の稼ぎを得ることは珍しくはありません。
このように、大金持ち以外にも関係のある話だったりするんですよね。
海外在住の日本人です。
海外在住の日本人は、まず日本の住民票をどうしているかによって日本での納税義務があるかないか決まります。毎年1月1日時点で住民票が日本国内にあればその年の確定申告や納税が必要となり、1月1日時点で住民票が日本国外にあれば(国名だけ住民票に登録する)その年の確定申告や納税が必要でなくなります。但し、住民票が日本国外にあっても、日本からの収入を得ていたり、日本で事業を営んでいて日本国内に事業地の登録がある場合には、日本での納税義務が発生します。