こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
小規模企業共済等掛金控除ですが、節税の定番の小規模企業共済やiDecoなどの確定拠出年金が対象になっています。
2020年8月現在でiDecoの加入者が169万人を超えていますので、年末調整で目にする機会も増えて来ていると思います。
基本的な部分から、控除の注意点などをまとめてみますので、ご覧ください。
Contents
小規模企業共済等掛金控除って?
小規模企業共済等掛金控除は、以下のものを支払った場合に適用される所得控除です。
①小規模企業共済
②確定拠出年金(企業型・個人型)
③心身障害者扶養共済
年末調整で見掛けるのはほぼ①と②でしょう。(私は③は目にしたことがありません…)
ポイントとしては、その年内に支払ったもの、という点です。
仮に残高不足などで未払いになっているものがあったら、所得控除の対象外となります。
ただ、年末調整の処理時点では確認することが出来ないため、現実的には年末調整では満額支払っているものとして処理して、未払い分は確定申告で再度計算してもらうしかないでしょう。
保険料控除申告書への記載方法は?
令和4年分の保険料控除申告書は次のようになっており、小規模企業共済等掛金控除の記載欄は次の場所です。
記入する欄と内容は次の通りです。
①独立行政法人中小企業基盤整備機構の共済契約の掛金
小規模企業共済の加入者はこの欄に記入します。
控除証明書に記載された数字を記入してください。
②確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金
企業型DC(企業型確定拠出年金)の加入者はこちらの欄に記入することになりますが、一般的には企業側が管理をして記入するため、従業員本人が記入する必要はありません。
③確定拠出年金法に規定する個人型年金加入者掛金
iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者はこちらの欄に記入します。
控除証明書に記載された数字を記入してください。
④心心身障害者扶養共済制度に関する契約の掛金
心身障害者扶養共済の加入者はこちらの欄に記入します。
小規模企業共済等掛金控除の注意点
基本的には顧問先の従業員さんが記入して提出される訳ですが、間違って記入されている場合もあります。
間違えやすいポイントも含めて、小規模企業共済等掛金控除の注意点をまとめてみます。
控除証明書の金額の集計
小規模企業共済、確定拠出年金ともに基本的には口座振替で支払うことになっています。
例えば、小規模企業共済の控除証明書を見てみましょう。
掛金の月額は記載されていますが、年間の掛金の金額は記載されていないため、加入月数に応じて計算する必要があります。
年間を通じて加入していて掛金の変更がなければば×12をすれば良いですが、
・年の途中から加入している
・掛金の変更をしている
などの場合は特に注意が必要です。
前納減額金
前納減額金とは、掛金を前納(前払い)した場合に一定の割引がある制度です。
掛金の月額に対して0.09%なので、微々たる金額ですが、実質的には掛金の割引ですので、掛金の総額からこの金額を引かなければいけません。
前納減額金があるのに引かれずに記入されているというのもよくあるミスですので注意が必要です。
この見本では前納減額金が0円ですが、金額がある場合は差し引いた金額になっているかチェックしましょう。
確定拠出年金
確定拠出年金にが個人型と企業型があり、保険料控除申告書に記入が必要な場合とそうでない場合があります。
・記入が必要な場合
企業型でマッチング拠出がある場合の従業員負担額
個人型の確定拠出年金
・記入が不要の場合
企業型の場合の会社負担額
企業型の会社負担額は控除証明書が発行されないため、記入されることはあまり無いですが、念のため確認しておきましょう。
また、確定拠出年金は控除証明書の発行元が「国民年金基金連合会」となっています。
そのため、国民年金と間違えて社会保険料控除に記入されている場合があるので注意してください。
配偶者の掛金を負担している場合
年末調整の対象者が配偶者や扶養親族の掛金を負担している場合があると思います。
小規模企業共済等掛金控除では、自分自身の加入分以外は控除することが出来ません。
もし、親族分の控除証明書が貼付されていたら、外して計算をする必要があります。
まとめ
小規模企業共済等掛金控除のポイントをまとめると以下のようになります。
・きちんと年額分の掛金が記入されているかチェック
・前納減額金がある場合はきちんと引かれて記入されているかチェック
・小規模企業共済等掛金控除は本人分のみで、親族分は控除の対象外
・確定拠出年金が社会保険料控除に記入されていないかチェック
ミスの多くはきちんと資料を見て冷静に処理すれば防げるものです。
思い込みを排除してしっかり見直しをしておきましょう!
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