こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
個人事業主であれば事業専用の口座を作るというのが当然ですが、資金を管理したり効率よく経理を行うためには、もう少し工夫が必要になります。
「税金の支払いの通知が来たが事業用の口座に残高が足りない」などという経験された方もいると思います。
こういったことを防ぐためには、事業の中でも目的別に、最低でも2〜3個の銀行口座を使い分けることが必要になります。
銀行口座の使い分け方法
事業の基本的なお金の動きは
・売上金が入金される
・経費などを支払う
・生活費などをプライベート口座に移す
・税金や社会保険料などを支払う
といったところです。
そのため、プライベートの口座以外に
①入金用の口座、②支払用の口座、③納税用の口座
の3つを保有することが望ましいと思います。
お金の流れのイメージはこんな感じですね。
入出金の件数が少ない場合は入金用の口座と支払用の口座をまとめてしまっても良いですが、納税用の口座は分けておきましょう。
納税の直前に気付いて「お金が足りない」となっては困りますし。
それぞれの目的別の口座でお勧めするのは、このような銀行口座の開き方です。
入金用の口座
まず、入金用の口座については三菱UFJ銀行や三井住友銀行などメガバンクが望ましいです。
PayPay銀行などのネット銀行に抵抗感を持つ人も少なからずいるので、マイナスのイメージをもたれるリスクを避けるためには店舗型の銀行口座の方が安心でしょう。
ただし、飲食店など銀行振り込みで入金されることがないような場合は、特にこだわる必要はありません。
むしろ、ネット銀行の方が使い勝手が良い部分も多いのでお勧めです。
ちなみに、地元の企業との取引が多いような場合は、地元の地方銀行や信用金庫の口座も入金用の口座として保有しておいてもいいかもしれません。
同一の金融機関であれば振り込み手数料が安く済みますし、相手に喜ばれることもあります。
支払用の口座
続いて支払用の口座ですが、ネット銀行で良いと思います。
振り込み手数料が安いですし、振り込み件数が多い場合はメリットも大きくなります。
銀行振込で経費を支払うことが少ない場合は、支払い用の口座を作らず入金用の口座をそのまま使っても問題ありません。
納税用の口座
そして納税用の口座ですが、店舗型の銀行や信用金庫が良いでしょう。
所得税の振替納税やダイレクト納付(自動引き落としで納税する方法)には、ネット銀行がほとんど対応していないためです。
(2023年4月現在では、GMOネットあおぞら銀行が唯一対応しています)
また、国民年金や国民健康保険料についてもほとんどのネット銀行が口座振替には対応していません。
税金はクレジットカード納税を行うと手数料が必要となりますし、納税のために専用サイトでの操作が必要となります。操作の手間もありますし、万が一忘れてしまえば延滞税などが発生してしまいます。
そのため、口座振替の手続きを提出してあとは放置しておくのが個人的にはオススメです。
ちなみに、小規模企業共済などに加入している方は、それらも含めてこの口座から支払うのが良いと思います。
具体的な運用方法
必要な口座を開設したら、あとは毎月ルールにしたがって運用します。
やることは「入金用の口座から支払用の口座、納税用の口座、プライベートの口座に振り込みを行う」というだけです。
ただ、振込金額をいくらにするのかは工夫が必要です。
①支払用口座
業種によっても異なりますが、季節によって経費の変動が少ない場合には月々一定額を支払用口座へ振り込みます。
一方で季節によって仕入などで大きな変動がある場合には月々の予算を立てて、その金額を振り込むのが良いでしょう。
ポイントとしては「予算を決めて振り込む」ということです。
その枠内でその月の経費をやりくりするイメージですね。
あまり予算を大きく取ると「余裕があるから」と必要性の低い買い物をしてしまうこともありますし、予算を決めておくのが良いと思います。
②納税の口座
税金や健康保険料などは確定申告の数字をベースに計算されるので、毎年3月頃には年間の税金や社会保険料をざっくり計算することができます。
その上で必要な金額を月々積み立てるイメージですね。
入金用の口座から毎月定額で振込予約をしておけば手間を減らしてコツコツ積み立てることができます。
まとめ
個人事業主は自分でお金の管理をしておかないと、いざという時に資金不足を起こしてしまうこともあります。
また、支払えたとしても想定外の出費になるとダメージも大きいですよね。
そのため、支払用の口座や納税用の口座に移した資金は無いものとして考えておけば精神的にも楽なのかなと。
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