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起業する時に注意したい株式のこと〜レペゼンDJ社長の教訓〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

ご覧になった方もいると思いますが、レペゼン地球解散の裏話がリリースされていましたね。

(動画はこちら

動画を視聴しただけで詳細を知っている訳ではないため、あれこれ推測するのは止めておきます。

ただ、良くも悪くも教訓になる話ではあることは間違いなく。

・これから会社を作りたいけど法律のことはよく分からない

・共同創業を考えているんだけど

という方に最低限知っておいて欲しいことをお伝えしようと思います。

なお、動画の内容をざっくり整理すると次のような流れだったようです。

・DJ社長は借金抱えていたので、知り合いのH氏に100万円出資してもらい会社を作った

・借金を返済したら株を100万円で買い戻す約束をしていた

・買い戻そうとしたら無茶な条件を出されてゴネられた

・H氏がDJ社長を解任した

・H氏を追求するとH氏は私的にお金を使ってたっぽい

権力があるのは社長ではなく株主です

「社長が一番偉い」ってイメージを持っている方も多いと思いますが、会社の仕組みから言えばNOです。

今回の動画でも話されていますが、株主が決めれば社長をクビにすることは可能なんですよね。

これは株主の多数決で物事を決めるのが会社のルールなので、違法でも何でもありません。

社長の給料を決めるのも株主ですし、あくまでも社長は「株主に雇われている」という立場なんですよね。

中小企業では株主=社長の親族というパターンが多いので、雇う側も雇われる側も同じ人って場合が多いので、問題になるケースは少ないですが。

とは言え、親族の中でも意見が割れて対立することもありますので、「誰がどれだけ株を持っているのか」というのは確認しておくべきでしょう。

会社の株主名簿や、法人税申告書の別表二というもので確認することができます。

共同創業する場合に気をつけたいこと

50%ずつ出資は止めましょう

起業の相談を受けると「2人で共同創業したい」という方がたまにいらっしゃいます。

1人よりも2人の方が受けられる仕事の幅も広いでしょうし、それぞれの強みを生かしたり、弱点をカバーしたりできるので、共同創業のメリットもあると思います。

ただ、お話ししたように株主が社長をクビにすることもできるので、誰がどれだけ出資するのかはきちんと考えておくべきかな、と。

最悪なのは「50%ずつ出資をする」というもの。

もしも意見が対立したり、もう一人が失踪したりすると会社の決定事項を何も決められなくなります。

(「失踪って大袈裟でしょw」って思うかもしれませんが、実際あります。あと突然倒れたりとか。)

そのため、考えられる対策としては

・どちらかの出資比率を多くする

・種類株式を使って議決権を制限する

といったものが考えられるかな、と思います。

結局のところ、「どちらかに意思決定権を与える」という状態を作らないとこじれた時ににっちもさっちも行かなくなるんですよね。

出資比率を変える

最初に出資する割合を変えることで、どちらの意思決定を優先するかということを決めることができます。

会社の決定事項でポイントとなるのは

①過半数の壁

②2/3の壁

です。

ざっくり説明すれば、①過半数の壁というのは通常の決定事項(社長の報酬を決めるとか、決算を承認するとか)のことです。

過半数を保有していれば会社に関わる多くのことは決めることができます。

49%持っていても、51%持っている他の株主の意見が通るということですね。

次に②2/3の壁というのは重要な決定事項(定款の変更、合併や解散、自社株の買取など)のことです。

重要な決定事項の場合は株主の2/3の賛成が必要になっていますので、49%持っていれば重要な決定事項については阻止することができます。

そのため、確実に意思決定をしたい場合は2/3を超える株を保有しておくべきです。 

具体的には、全部で100株の会社であれば、67株以上持っていれば全てのことを決定することができます。

種類株式を活用する

基本的に株は1株=1票の効力があり、100株持っていれば株主総会で100票の権利があるというものです。(これを議決権と言います)

1株=1票ではなく、議決権が無い株を作ることも可能で、これを種類株式と言ったりします。

議決権が無いだけでは普通の株式よりも不利なだけなので、「議決権は無い代わりに配当を多くするよ」みたいな条件で種類株式を作ったりします。

そのため、1人は議決権ありの株式、もう1人は議決権なしの種類株式みたいな形で創業すれば、「株主総会で何も決まらない」という事態は回避できます。

出資額で買い戻すとどうなるか

動画では、会社を作る時に「DJ社長にお金がないから」といった理由で知り合いが100万円出資をしています。

その上で、時期が来たらDJ社長が100万円で買い取るという約束をしていたようです。

今回は約束を破られて株を買い戻せていないようですが、仮に大きく成長した会社の株を出資額で買い取ったらどうなるでしょうか。

このような場合、買い取る側(DJ社長側)に贈与税が発生します。

上場していない会社はその会社の資産価値や利益などを考慮して株価を計算することになります。(どのように計算するかは国税庁がルールを定めています)

例えば、会社が成長して5,000万円の価値がある株になっていたとしましょう。

その株を100万円で買い取ると言うことは4,900万円割引で買えているのと同じことです。

そのため、株を買い取る側が4,900万円の贈与を受けたことになり、株を買った人が贈与税を支払うことになってしまいます。

株の売買は出資額ではなく「その時の評価額」で考えるので、出資額が100万円だとしてもこのような結論になります。

「出資額で買い取っただけなのに税金がかかるの?」と思われるかもしれませんが、これが現実です。

まとめ

今回の記事で伝えたいこととしては

・起業するなら自分で株を持つべき

・共同創業する場合は議決権の配分に注意

ということです。

大学生などで「**に出資してもらいました!」と喜んでいる人もいますが、それがどういうことなのか、しっかり理解しておきましょう。

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20210604_起業と株のお話し | ソーシャル税理士 金子尚弘~NPO&クラウド会計~ へ返信する コメントをキャンセル

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