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クラウドファンディングの会計処理・法人編〜寄付型とリターン型〜

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

法人が新商品の開発や新規事業のプロモーションでクラウドファンディングを行う場合もあると思います。

クラウドファンディングにもいくつかのパターンがあり、大きく分けると

・商品などのお礼があるリターン型

・お礼がない(あってもサンクスレターのみなど気持ち程度のもの)寄付型

の2種類があります。

クラウドファンディングといえば支援、というイメージがあるかもしれませんが、リターン品があれば商品売買と同じという考え方になります。

法人でクラウドファンディングを行う場合はリターン型が多いと思いますが、ここでは両方のパターンについて説明します。

なお、個人でクラウドファンディングを行う場合は、個人編の記事をご覧ください。

参考 クラウドファンディングの会計処理・個人編ソーシャル税理士金子尚弘のページ

リターン型クラウドファンディングの会計処理(原則)

リターン型の基本的な考え方としては「支援金=売上」であり、「リターン=原価」です。

また、クラウドファンディングのサイトへ支払う手数料も経費として処理することになります。

イメージとしては次のようになります。

クラウドファンディングと名前はついていますが、考え方としては通販と同じです。

具体的な数字を当てはめながら考えてみましょう。

クラウドファンディングで100万円を調達して、仲介手数料を15万円を差し引いた85万円が入金され、リターン品を20万円で作成した場合。

 

①入金時

 

②リターン品の作成・送付時

 

*全てのリターン品を事業年度内に発送した場合の処理です。

 発送が次年度以降になる場合は、

 売上→前受金

 仕入→棚卸資産

 に振替処理を行う必要があります。

ただし、法人税の原則的な考え方の一つに、「市場価格で売買をすること」というものがあります。

試作段階の商品であれば市場価格はありませんが、クラウドファンディングの直後に一般発売も開始するような場合は注意が必要です。

なぜなら、一般的にクラウドファンディングでは応援の意味も込めて、市販価格よりも高い支援金を設定している場合が多いからです。

場合によっては次のような処理も考えられます。

クラウドファンディングで100万円を調達して、仲介手数料を15万円を差し引いた85万円が入金され、リターン品を20万円で作成した場合。

ただし、この商品を通常の方法で販売したら70万円の売上になる見込みである。

 

①入金時

定価の70万円は売上となりますが、それを超える30万円は寄付を受けているのと同じですので、「受贈益」として処理します。

なお、受贈益の消費税は「対象外」(=不課税)です。

 

②リターン品の作成・送付時

 

*全てのリターン品を事業年度内に発送した場合の処理です。

 発送が次年度以降になる場合は、

 売上→前受金

 仕入→棚卸資産

 に振替処理を行う必要があります。

ただし、受贈益は受け取ったタイミングで認識するので、調整は必要ありません。

最後になりましたが、リターン型のクラウドファンディングのポイントは、支援金に消費税が課税されるということです。

免税事業者でなければ消費税の納税額が増加することになるため、実質的にいくら手元に残るかきちんと把握しておきましょう。

リターン型クラウドファンディングの会計処理(サンクスレターのみの場合)

リターン型のクラウドファンディングでも、リターンがサンクスレターなど、商品というよりは支援のお礼を伝える意味合いのものであれば、商品売買とはなりません。

この場合は、クラウドファンディングのサイトから入金があった時点で「受贈益」として収益として認識します。

考え方としては、リターン品がある場合で定価を超える部分と同じです。

なお、サンクスレターの制作費は、発送した時点で販売費および一般管理費で経費として処理することになります。

決算時点で発送されていないものは貯蔵品として資産処理することになります。

ただし、金額が少額(10万円未満など)であれば未発送のものも含めて経費処理しても構いません。

では、次の場合の処理を見て行きましょう。

・サンクスレターのリターンで20万円が集まり、16万円が入金された

20万円は受贈益として処理します。なお、消費税は対象外(不課税)です。

・サンクスレーを2万円で作成した

少額ですので、期末に残っている数量に関わらず、全額費用として計上します。

(広告宣伝費として仕訳していますが、別の科目でも大丈夫です)

まとめ

クラウドファンディングを実施した場合の会計処理は、リターン品がある場合とそうでない場合で異なることになります。

特に、リターン品があれば消費税が課税されることになるので、十分注意してください。

クラウドファンディングを実施する例もかなり増えて来ていますので、クラウドファンディングを検討される場合は参考にしてください。

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