こんにちは、ソーシャル税理士の金子@innovator_naoです。
個人事業であれば、消費税の納税が必要ない免税事業者となっている方もいらっしゃると思います。
ご存知の通り2019年(令和元年)10月1日から消費税率のアップと軽減税率の導入が予定されています。
持ち帰りと店内飲食があるお店などでは
・消費税を納めていないけど、消費税を取っていいの?
・持ち帰りと店内飲食の価格はどうすれば良いの?
・お客さんに軽減税率について聞かれたらどう答えれば良いの?
・っていうか、免税事業者でも消費税と関係あるの?
という悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここでは、免税事業者の飲食店などを想定して消費税対策のお話しをしたいと思います。
免税事業者は消費税を取るべきか?
「消費税を納めていないけど、消費税を取っていいの?」という疑問を持たれている方もいるかもしれません。
結論としては、消費税を取ってOKです。
仕入やその他の経費には消費税が含まれていますので、消費税が10%に上がればそれだけコストが増えることになります。
もしも売上に消費税を上乗せしないと、コストだけが上がって利益が減ってしまいます。
免税事業者の場合は、いくら利益が残るのか税込金額をベースで考えるべきでしょう。
免税事業者の価格戦略〜値上げも検討しよう〜
免税事業者であっても、消費税を上乗せして取るべきだ、ということはご説明した通りです。
では、10月から税抜金額はどうすれば良いの?というお話しもしておきたいと思います。
例えば、持ち帰り中心のお惣菜屋さんを考えてみましょう。
・軽減税率だから税込金額を据え置く
・軽減税率だけど、値上げをする
さて、どちらが正解でしょう?
私なら「値上げ」が正解だと思います。
え、便乗値上げ?この税理士、こんなこと勧めて大丈夫なの?
と思われるかもしれませんが、冷静に考えてください。
売上の消費税は8%ですし、仕入れの食材の消費税も8%です。
しかし、お店の家賃や水光熱費など食材以外のコストは全て消費税が10%になりますよね?
例えば、売上が1000円、仕入が300円、その他の経費が500円(全て税抜)の場合で税込価格を据え置いたらどうなるでしょうか?
科目 | 増税前 | 増税後 |
売上 | 1,080 | 1,080 |
仕入 | 324 | 324 |
その他経費 | 540 | 550 |
利益 | 216 | 206 |
このように、その他経費の消費税率がアップする分、利益が減ってしまいます。
もちろん、お客さんの反応などもあるのでスムーズに値上げができない可能性もあります。
ただ、軽減税率だからといって価格を据え置くと利益が減ることになるのは理解しておきましょう。
さぁ、10月からの価格はどうしますか?
免税事業者は税込価格を統一する方が便利
さて、軽減税率の商品でも価格を据え置くと利益が減ってしまうことはお分かり頂けたと思います。
次は、カフェなど持ち帰りと店内飲食の両方があるお店がぶち当たる問題。
税込価格を統一すべき?
本体価格を統一すべき?
という点について考えてみたいと思います。
これについては正解はありませんが、オペレーションを考えると税込価格を統一した方がスムーズではないかと思っています。
特に、今まで10円単位での値付けをしているお店の場合、本体価格を揃えると持ち帰りか店内飲食のどちらかで1円単位の価格が発生します。
そうなればお釣りのやり取りが面倒になったり、何かと不便なことも出てくるのではないかと。
大手の飲食チェーンでも税込価格を統一するお店もあるので、「税込価格を統一しています」という説明で混乱を招くこともないでしょう。
そして、免税事業者の場合は「税込金額=売上高」になるので、自分自身にとっても分かりやすいのではないかと。
ただし、免税事業者であっても区分記載請求書の発行は必要ですので、レジには持ち帰りと店内飲食をきちんと分けて登録しないといけません。
区分記載請求書って何?という方はこちらをご確認ください。
参考 【消費税改正】区分記載請求書の書き方を解説します〜注意点や実務上の対応について〜ソーシャル税理士金子尚弘のページまとめ
免税事業者であっても影響が発生する消費税の増税と軽減税率。
何とも面倒な制度ですが、
・免税事業者であっても消費税を上乗せすることは問題なし
・免税事業者は経費の消費税の増税分だけコストが上昇する
・持ち帰りと店内飲食の両方がある場合、税込価格を統一した方がオペレーションが楽になるかも
といった点を抑えておいて頂ければと思います。
かなり頭を悩ませると思いますが、コストの上昇分も頭に入れながら価格改定をして頂ければと!
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