こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
ガソリン価格の高騰が続いていますが、これでも補助金が支給されていて多少は価格が抑制されています。
岸田政権も補助金の継続を検討しているようですが、国民民主党は補助の継続だけでなくトリガー条項の発動や暫定税率の廃止なども訴えています。
ガソリンに関する税金は分かりにくいですし、給油した時に自分がいくら税金を負担しているか把握している人なんてほとんどいないでしょう。
実際に私もいちいちガソリン税がいくら含まれているなんていちいち計算していません。
ただ、ガソリンに関する税金がどうなっているか知ることは無意味ではないと思います。
仕組みを知らなければ変だと思うことも、声をあげることもできませんからね。
ガソリンにはガソリン税と消費税が課税されている
まず、ガソリンが消費者に届くまでの流れをざっくり説明します。
日本では原油が採れないので輸入することになります。
そして原油を精製してガソリンなどを生産し、石油元売業者がガソリンスタンドなどに卸します。
ガソリンにかかる税金は主にガソリン税と消費税があります。
なお、ガソリン税には本来の税率にプラスして暫定税率が追加でかかっている状態です。
(石油石炭税という税金もあるのですが、金額が少ないこともありここでは省略します)
ちなみに、ガソリン税は石油元売業者が支払い、消費税はガソリンスタンドが支払っています。
また、ガソリン代が高騰していることもあり、国は石油元売業者に対して補助金を支給しています。
補助金を支払うことで卸売価格を引き下げても石油元売業者に利益が出るようにしている訳ですね。
なので、税金と補助金の流れを図にするとこんな感じになります。
ガソリンにかかる税金はいくら?
ガソリンの販売価格は日々変動しますが、仮にガソリン1リットルの価格を100円として計算すると次のようになります。
ガソリン本体:100円
ガソリン税:53.8円(このうち25.1円は暫定税率による上乗せ分)
石油石炭税:2.8円
消費税15.6円
これらを合計すると172.2円になります。
つまり、ガソリンスタンドで1リットル172円で給油する場合には72円が税金ってことですね。
ちなみに、消費税はガソリン税なども含めた価格に対して10%かかっています。
税金に対して税金を上乗せしているため二重課税なんですが、現状では違法という判断にはなっていません。
実は、日本の税制において二重課税を禁止するという法律はありません。
(例えば、相続で取得した財産に所得税を課税しないなど、個別で手当てしているものはあります)
納得できるかはともかく、日本の税制としてはこういう考えになっているということで。
ガソリン対策の補助金って必要なのか
ガソリン代の高騰は運送業や地方などで車が生活必需品となっている人にとっては大問題です。
そのため、何かしらの対策を取ることは賛成なのですが、補助金がベストなのかと言われると違うと思います。
まずはトリガー条項の解除が優先なのではないかと思うんですよね。
トリガー条項をざっくり説明すると、3ヶ月連続でガソリン価格が160円を超えた場合に暫定税率部分を減税するというものです。
先ほども触れましたが、ガソリン税のうち暫定税率部分は25.1円です。
要するに、トリガー条項が発動すれば1リットル27.6円は安くなり144.6円になります。
(ガソリン税が安くなればその分消費税も減るため、25.1円×110%です)
それでも高止まりするのであれば次の手段として補助金を検討すれば良いのではと思うんですよね。
「補助金でも減税でもガソリンが安くなるなら同じでは?」と思うかもしれませんが、補助金は申請したり、それをチェックした上で振り込む作業などにコストがかかります。
一方で減税であれば補助金に関する業務は一切発生しませんし、補助金と減税額が同じであれば確実に減税の方が社会的コストが低くなります。
もちろん税率が変わるタイミングでの混乱は生じるため全く負担がないとは言いませんが、補助金を支給し続ける社会的コストよりはマシではないかと。
それに、暫定税率が導入されたのは1974年度で50年近くも「暫定」の状態が続いている訳です。
これでは暫定って何なの?という話ですし、トリガー条項ではなく暫定税率自体を廃止すべきなんじゃないですかね。
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