こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
個別相談で法人化のテーマの際に「給与計算をどうするか」という話題になることがあります。
「なるべく安く済ませたいんですが…」と聞かれますが、基本的に給与計算は給与計算システムで行うようにすべきだと思っています。
給与計算システムでは源泉所得税、社会保険料などの金額を自動で計算してくれるため、計算ミスのリスクを軽減できますし。
ただ、出来る限りコストを抑えたいという方もいらっしゃいますし、
・給与が発生するのは代表者のみ(月額固定の役員報酬のみ)
・社会保険料の等級変更など一定の知識がある
という場合はExcelなどで計算しても良いかなとは思っています。
計算ミスのリスクも少ないですし、仮にミスが起きても従業員に迷惑をかけることもありません。
今回はこのような一人会社が給与計算を自力で行う場合の流れについて解説します。
Contents
給与計算の方法
給与計算で必要な情報は
・月額の給与(役員報酬)
・社会保険料の金額
・源泉所得税の金額
・住民税の金額
です。
全体の流れとして
①:月額の給与から社会保険料を控除する
②:①の金額から源泉所得税の金額を計算する
③:給与額から源泉所得税・住民税・社会保険料を控除して手取りを計算する
となります。
月額の給与は自社で設定した金額になりますので、それ以外の項目について解説します。
社会保険料の計算
社会保険料は基本的に毎月固定となっています。
年金事務所へ毎年給与額を報告して、社会保険料が決定されます。
多くの会社は協会けんぽだと思いますので、こちらのページから社会保険料を確認することができます。
自分が該当する標準報酬の行を確認して、「折半額」を給与から控除してください。
なお、40歳以上の方は介護保険料も控除する必要がありますので、「介護保険第2号被保険者に該当する場合」の金額を控除してください。
例えば、月額の給与が10万円であれば
①40歳未満の場合
4,865円+8,967円=13,832円
②40歳以上の場合
5,669円+8,967円=14,636円
となります。
源泉所得税の計算
源泉所得税は「給与額ー社会保険料」の金額と扶養親族の数を組み合わせて計算します。
「源泉所得税 月額表」などと検索して頂ければ最新の月額表がヒットすると思います。
(このような資料です)
例えば給与額から社会保険料を控除した金額が170,000円で扶養親族が1人の場合、源泉所得税の金額は2,070円となります。
住民税を控除して手取りを計算
社会保険料と源泉所得税の金額を間違いなく計算できれば、手取り額も正確に計算できるはずです。
上記のように源泉所得税の金額まで求められれば、あとは住民税を控除するだけです。
住民税は特別徴収税額通知書というものが5月頃に自治体から届きます。
そこに毎月の住民税額が記載されていますので、該当する月の金額を控除してください。
6月分と7月分以降で金額が異なる場合がありますので、注意してください。
給与計算の注意点
給与計算にあたっては、年間で注意すべきポイントがいくつかあります。
扶養控除申告書の作成(12月から翌年1月)
会社員の経験があれば、年末調整の際に住所や扶養家族などの名前を記載する書類があったのを覚えていると思います。
(こんな書類です)
毎年1月の給与支給までに扶養控除申告書を作成しておく必要があります。
これを作成しないと源泉所得税の計算が乙欄となり、毎月の源泉徴収の金額が大きくなってしまいます。
住民税額の更新
6月分の給与の計算時に、住民税の金額を新年度の特別徴収税額通知書の金額に変更する必要があります。
また、7月分から金額が再度変更となることが多いので、こちらも注意してください。
社会保険料の更新
社会保険料は4~6月分の給与金額をベースに年間の社会保険料が決定されます。その結果を毎年9月分または10月分の給与から変更します。
*いずれの月の給与から控除するかは過去の控除タイミングによって変わります
また、毎年3月のタイミングで社会保険料の負担額が変更となりますので、このタイミングでも社会保険料の変更が必要になります。
つまり
①9月(または10月)
社会保険料の等級変更
②3月
等級は変わらないが社会保険料の金額変更
が必要になるということです。
エクセルで給与計算をしていると3月の変更を忘れている例も多いので、注意が必要です。
まとめ
freeeやマネーフォワードで経理を行っている場合は、同じ会社の給与計算サービスを利用すれば経理処理も自動で行ってくれるので、効率化の観点からもお勧めです。
エクセルなどでの計算はあくまでも例外的な対応であり、ご紹介したもののあまりお勧めはしていません。
コストと手間を天秤にかけてどのように給与計算をするか検討して頂ければ。
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参考 人を採用をしたら理解すべき住民税のこと〜特別徴収はいつから?、退職した場合は?〜ソーシャル税理士金子尚弘のページ
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