こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
個人事業の場合は好きなタイミングで事業のお金を生活費として使うことができますが、法人化をするとそういう訳にはいきません。
法人化をすると、会社から役員報酬と言う形でお給料をもらう形に変わります。
ちなみに、役員報酬は基本的に毎月定額で支払うこととなりますので、役員報酬をいくらに設定するかが重要なポイントとなるんですよね。
従業員であれば最低賃金や労働時間の規制があるのできちんとお給料を払わないといけませんが、役員についてはそのような規制はありません。
つまり、「タダ働きの一人ブラック企業」みたいなことができてしまうんですよね。
もちろん、独立直後は死ぬほど働くみたいなタイミングもあると思いますが、ずっとそんな状態では生きていけませんし。
今回は、起業した時の役員報酬をいくらにすべきか?という点について考えてみたいと思います。
会社にお金を残すために役員報酬を低く設定する
多くの会社は、このパターンではないかと思います。
長年個人事業で仕事をしていて基盤があるならともかく、独立直後からバンバン仕事が来るというのは珍しいんじゃないかと。
そうなると、役員報酬を高く設定したところで「会社にお金がないから払えない」という状態になってしまうんですよね。
そうなると「個人が会社にお金を貸して、そこから役員報酬をもらう」という意味不明な状態になってしまいます。
これでは無駄に個人で税金や社会保険料を負担するだけですし、あまり得策ではないのかな、と。
ちなみに、年間98万円までの役員報酬であれば、所得税も住民税も発生しませんので、一つの参考にして頂ければ。(社会保険料は少しでも役員報酬を支払えば発生します)
さすがに月8万円じゃ生活できんわ!
という人もいると思いますが、この辺りは必要な生活費とのバランスを考えて設定して頂ければ。
最初から希望の金額に設定する
ある程度売上の見込みがある場合は、最初から希望の金額に設定するのもアリだと思います。
また、売上が不透明であっても「これ以上稼がないとダメ!」という目標設定のために高めの役員報酬にするのも悪くないかな、と。
人生お金だけじゃないですが、モチベーションの一つではあると思いますし。
売上が増えても会社に溜まるだけじゃモチベーション上がりませんしね。
もちろん、この選択にはリスクもあって、目標通りの売上が上がらなければ設定した金額を支払えなくなってしまいます。
そうなると、先ほど説明した
「個人が会社にお金を貸して、そこから役員報酬をもらう」
みたいな状態になってしまいます。
「そうならないために自分を追い込むんだ!」というタイプの方もいると思いますので、そういう気質の方は高めの役員報酬を設定するのも選択肢かな、と。
会社が黒字ならそれで良いのか?
総合的に考えると、個人的には「控えめの役員報酬に設定する」というのがお勧めですなんですが、それには少し落とし穴もあって。
それは「決算が本当の黒字かどうかが分からない」ってことなんですよね。
一人会社の場合、仕事を回すのは全て社長であるあなたです。
十分な役員報酬に設定して黒字になっているなら問題ないですが、控えめな役員報酬で黒字になっても、いわば「偽りの黒字」であって持続性はないんですよね。
もちろん、税金や社会保険の負担を考えると正解なんでしょうが、「黒字で良かった」と安心する訳にはいきません。
では、どうすれば良いかというと
・必要な役員報酬を設定した場合の利益を計算してみる
ってことになります。
本当の決算書を修正するということではなく、内部資料として再計算するイメージですね。
例えば、役員報酬が200万円で利益が100万円だったとしても、本来必要な役員報酬が500万円であれば、200万円の赤字だったということになります。
少なくとも赤字を避けてトントンにするにはあと200万円利益が必要ということになりますよね。
そうなれば
・200万円利益を増やすには、売上はいくら必要か?
・それだけ売上を増やすには、何をすれば良いか?
って逆算をしてこれからの戦略を考えることになります。
目標とする役員報酬以下で仕事をされている場合には、こういった作業で「今後何をしなければいけないか」ということを具体化して頂ければと。
まとめ
初年度の役員報酬の設定はけっこう悩むポイントだと思います。
税理士に相談すると税金や社会保険の負担を考慮して、低めの役員報酬を提案されることもあると思います。
もちろん、これも一つの目線としては正解なんですが、「持続可能な役員報酬を設定したらどうなるか?」という目線での振り返りもして頂ければと。
ずっと安月給じゃいずれ破綻してしまいますし。
もちろん、自分へのモチベーションのために高めに設定するのもアリでしょうし、メリットとデメリットを把握して自分で決めるしかないんですね。
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「設立直後から役員報酬を支払わないといけないの?」という視点から解説している記事も紹介しておきます。
参考 設立初年度の役員報酬〜いつから支払えば定期同額給与になるか?〜ソーシャル税理士金子尚弘のページ
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