こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
2022年(令和4年) 6月から児童手当が改正されます。
今までも所得制限があり、一定以上の所得の方は児童手当の金額が減額されていました。
しかし、今回は所得制限が二段階になり手当の支給が無くなる場合も。
ただ、所得制限ギリギリの方は支給が無くなることを回避する方法もあったりします。
ここからは、児童手当の仕組みや改正の内容、所得制限を回避できるかもしれない方法について解説します。
児童手当の仕組み
自動手当は、0歳から中学校卒業までの間に一定金額が支給されます。
金額は子どもの年齢などによって変わり、3歳までは15,000円、小学校卒業までは10,000円(3人目以降の場合は15,000円)、中学校卒業までは10,000円となっています。(全て月額です)
図にすると次のような感じです。
ただし、これは所得制限に該当しない人の金額であり、所得制限に該当する場合は年齢に関わらず一律で5000円となります。
所得制限の金額と改正内容
所得制限は扶養家族の人数によって決められており、具体的には次のようになっています。
図表:姫路市お子育て応援サイトより
左の所得制限限度額を超える場合は手当が5000円となります。
そして、令和4年6月からは右の所得制限上限額を超える場合は手当の支給がなくなります。
ただ、所得金額の計算方法や扶養親族の数え方を正確に把握していないと正しい計算ができません。
それぞれポイントや注意点などを説明していきますね。
所得金額の計算方法
児童手当の所得制限の判定で使う所得金額ですが、次のようになっています。
所得金額=総所得金額等−控除額− 80,000円
まず、総所得金額等は、給与所得、事業所得、譲渡所得などを合算した金額になります。(社会保険料や生命保険料等の所得控除の前の金額です)
確定申告をしている方であれば確定申告書第1表の所得の合計欄の金額になります。(株の譲渡など分離課税で申告しているものがあれば、それを加算します)
また、会社員の方で確定申告をしていない方は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」が総所得金額等になります。
続いて控除ですが、確定申告で使える所得控除のうち一部が児童手当でも控除される仕組みです。
具体的には、次の通りです。
社会保険料控除は金額が大きくなる場合が多いですが、児童手当の計算上は控除されないんですよね。
そのため、確定申告の課税所得とは大きく異なる結果になってしまいます。
次は、いつの所得を使って所得制限を判断するかについてです。
児童手当は6月から翌年の5月までが一区切りとなっており、この期間の所得制限は前年の確定申告や年末調整の情報で判定します。
具体的には、2022年6月〜2023年5月の児童手当に対しては2021年分の確定申告や年末調整の情報を使うということですね。
扶養親族の考え方
扶養親族に該当するのは、同じ生計で所得が48万円以下の親族です。
所得48万円と言うのは、アルバイトなど収入がお給料のみの場合は103万円になります
そして、いつのタイミングで判定をするのかと言うと、児童手当の判定で使う所得金額と同じタイミングで判断します。
例えば、2022年6月〜2023年5月までの児童手当であれば、2021年12月31日時点の状況で判断をするということですね。
そのため、2022年に子供が生まれた場合は、その子どもは扶養親族にはカウントしないと言うことになります。
【扶養親族の判定の具体例】
①配偶者の所得が48万円超で、その年に生まれた子どもが1人の場合
→0人
②配偶者の所得が48万円超で、前年以前に生まれた子どもが1人の場合
→1人
③配偶者の所得が48万円以下で、前年以前に生まれた子どもが1人の場合
→2人
所得制限を回避する方法はあるか
当たり前ですが、確定申告を誤魔化して所得を減らすことは問題外ですが、合法的に所得制限を回避する方法があります。
それは小規模企業共済等掛金控除を活用する方法です。
具体的には小規模企業共済とiDeCoです。
例えば自営業の場合は小規模企業共済で年間84万円、iDeCoで年間81.6万円の合計165.6万円の控除枠があります。
そのため、控除がない場合に所得制限を超える人でも、これらの控除を活用することで所得制限以下になる場合もあるんですよね。
未加入の方は検討してみても良いと思います。
ただし、会社員の方は小規模企業共済には加入できず、iDeCoの限度額も年間で27.6万円(公務員は14.4万円)なので自営業ほどのインパクトはありません。
もちろん、所得制限をギリギリ超えるような方は効果があるかもしれませんが。
まとめ
児童手当の所得制限に該当するのか、なかなか自分では正確に計算できないという方も多いと思います。
大幅に超える方や明らかに所得制限以下になる方は細かく計算する必要はありませんが、所得制限の前後になりそうな方はシミュレーションしてみるのも良いと思います。
自営業の方は利益の見通しが立てにくいかもしれませんが、小規模企業共済やiDeCoは節税にもなりますし加入を検討してみるのも良いでしょう。
節税や児童手当のためだけではなく、将来の備えにもなりますから。
(株の譲渡など分離課税で申告しているものがあれば、それを加算します)
とありますが分離課税で加算されるのは退職金などの場合で、株の売買益や配当は加算されないのではないですか?
コメントありがとうございます。
申告不要を選択すれば加算されませんが、分離課税であっても申告すれば所得に加算されることになります。
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