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キャッシュレス決済の仕組みと導入する場合のポイント

こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。

クレジットカードやQRコード決済などキャッシュレス決済を活用する人が年々増えています。

実際に私もよく使いますし、便利なのは間違いありません。

しかし、キャッシュレス決済の増加で経営が圧迫されているお店があることも事実で、Abema的ニュースショーでも特集が組まれたりしていました。

今回はキャッシュレス決済をした場合のお金の流れと、BtoCの店舗が考えておくべきポイントについて解説します。

キャッシュレス決済のお金の流れ

まず、キャッシュレス決済を行うには、クレジットカード会社などと契約をする必要があります。

その上で、お客さんがお店で買い物をすると、1週間〜1ヶ月後にクレジットカード会社から売上金が振り込まれるのですが、その際に2〜4%程度の手数料が引かれることになります。

(実際にはクレジットカード会社から決済代行会社を通じて振り込まれますが、単純化して話を進めます)

手数料率はクレジットカードで3.5%程度が平均で、PayPayは1.98%(記事執筆時点)となっており、決済手段によっても変わります。

お金の流れをざっくり整理すると次のようになります。

①お客さんが店舗でクレジットカードなどを使って買い物をします。

②クレジットカード会社が一定期間後に店舗に売上金から手数料を引いた金額を振り込みます。

③お客さんはクレジットカード会社に代金を支払います。

店舗とすれば、手数料が引かれる上に入金までの期間も1週間〜1ヶ月程度かかるため、現金支払いよりも資金繰りは厳しくなります。

キャッシュレス決済が増えるとお店はどうなるか

ターゲット層にもよりますが、キャッシュレス化の流れは進んでいますし、現金しか取り扱わない店舗を避ける人も一定数いると思います。

主な顧客が高齢者の個人客などであれば影響は少ないかもしれませんが、ビジネス客や若い層をターゲットにするのであればキャッシュレス決済を導入しないことで機会損失も生まれることになるでしょう。

キャッシュレス決済を導入するメリットも当然あります。

レジ締め作業が楽になる、売上金を銀行に預ける手間が省ける、店舗に現金が少なくなるので防犯上のリスクも減るなどが主なものです。

ただ、個人店などの場合はレジ締めなどは店主が行なっているでしょうし、人件費が減るなどの効果は限定的だと思います。

そのため、基本的にはキャッシュレス決済導入で削減できるコストよりも、発生する手数料の方が高くなるケースが圧倒的に多いと思われます。

キャッシュレス決済の比率が高くなればなるほど手数料負担も増えるので、対策をしなければ単純に資金繰りと利益を圧迫する結果になります。

例えば、月商200万円の店舗でFL比率(原価と人件費の割合)が60%、家賃などの固定費が35%の例で考えてみましょう。

仮に全て現金決済の場合にはコストは原価・人件費・家賃などの190万円となるため、利益は10万円です。

キャッシュレス決済手数料が3%だとすると、キャッシュレス決済割合に応じて次のような利益になります。

現金売上100%だった場合には10万円だった利益が、キャッシュレス決済が25%になれば8.5万円、50%になれば7万円、75%になれば5.5万円に減少します。

このシミュレーションでは黒字は維持できていますが、実際にはもっとギリギリの利益率で回している店舗もあるので、キャッシュレス決済の増加で赤字に転落するケースもあるはずです。

また、キャッシュレス決済の場合は売上金の入金が現金より遅れるため、運転資金として銀行から融資を受ければその分だけ利息の負担も発生することになります。

そうなると、人件費(つまりは社長の給与)を削るなどして会社を維持するといった対策をせざるを得なくなります。

キャッシュレス社会に向けた準備が必要

飲食店や小売店などBtoC事業者の場合、キャッシュレス決済への対応は必須と言っても良いと思います。

しかし、ご説明したようにキャッシュレス決済の割合が増えれば資金繰りと利益を圧迫することになります。

何もしなければ自社が苦しくなるだけなので、具体的に取れる対策としては

①仕入などの支払いをカード払いや請求書払いにして支払いを遅らせる

②キャッシュレス社会に合わせた値付けをする

の2つがあると思います。

まず①ですが、自社が支払う経費の中でクレジットカード払いに変更できるものがあれば、支払いを遅らせることができます。

また、食材の仕入れなども業者と契約をして請求書払いにすれば支払いが月に一度後払いにすることも可能です。

こうすることで、キャッシュレス売上の入金が遅れることに対策を打つことができます。

ただし、これは入金と支払いのタイムラグを調整しているだけなので、根本的な対策にはなりません。

そのため、②のように一定割合でキャッシュレス決済がある前提での値付けをする必要があるでしょう。

もちろん値上げをすれば客離れにも繋がるので抵抗感はあると思いますが、それでも何もしなければ自社の利益が減ってしまうだけです。

原価を削減するなどコスト面での工夫も必要でしょうが、物価上昇などもあり仕入の価格を下げることも簡単ではありません。

キャッシュレス決済の割合が増えても生き残れるような値付けをすることも大切な決断だと思います。

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