こんにちは、ソーシャル税理士の金子(@innovator_nao)です。
独立、起業すると決算や確定申告など、サラリーマンでは経験しないような仕事が待っています。
学校でも習いませんし、「自分だけじゃ出来ない」ということで税理士と契約する方も多いと思います。
ただ、残念なのは「税理士へのニーズが曖昧であるため、ミスマッチを起こしてしまう」ということなんですよね。
税理士と言っても色々なタイプがあります。
自分に合った税理士を探すためのヒントになればと思い、私なりの考えを整理してみました。
Contents
税理士のタイプ
税理士と言っても、色々なタイプがいますし、事務所経営のスタンスも様々です。
スタッフを100名以上抱える大規模事務所もあれば、私のように一人で運営している事務所もあります。
そのため、税理士を探す前に依頼したい内容を考えておくことが大切だと思います。
例えば、病院に行く場合でも
・胃腸の調子が悪い
・頭が痛い
・骨折した(かも)
・美容整形をしたい
など、状況やニーズによってどの病院に行くのかが変わりますよね。
税理士を探す段階で「自分自身のニーズを整理する」という作業をしている方が少ないので
「耳鼻科なのに骨折の患者さんが来た」
みたいなミスマッチが起こってしまう訳です。
ざっくりですが、税理士事務所のタイプを考えてみたいと思います。
大病院タイプ
大病院は色々な病気やケガにも対応できますし、高度な医療機器も備えています。
税理士事務所で言えばスタッフ100名以上抱えるような大規模な事務所がこれに該当します。中には全国に複数の支店を展開している事務所もあります。
このタイプの税理士事務所には、高度な知識・経験を持つベテラン税理士も在籍している一方で、経験値の少ない新人も多く在籍しています。
大病院でも「診察してもらったけど研修医だった」みたいなことがありますが、税理士事務所も同じです。
もちろん、新人が担当した仕事でもベテランがチェックしているはずですので、最終的な仕事の質は担保されていると思います。
ただ、経験の浅い新人が担当した場合、質問をしてもタイムリーに対応してもらえるかなど、不安要素があることも事実です。
また、大規模事務所では一定の割合で退職者が出ますので、2~3年ごとに担当者がコロコロ変わるという可能性も。
ビジネスライクに「経理や税金のチェックをしてもらい、質問ができれば良い」という会社にとっては向いているかもしれませんが、一人の税理士と長く付き合いたいなら別の選択肢の方が良いでしょう。
専門クリニックタイプ
例えば美容クリニックのように、特定の分野に特化している病院も存在します。
特定の分野に特化しているので、その分野の知識は一般のお医者さんとは比べ物にならないでしょう。
また、ハッキリと対応する分野を明示しているので、
「美容整形のクリニックなのに風邪の患者さんが来た」
みたいなことは起こらないはずです。
税理士事務所で言えば
・飲食店専門
・医療機関専門
・相続税専門
など分野に特化している事務所も多くあります。
私の場合は、NPOやソーシャルビジネスを中心に対応しているので、ここに当てはまると思います。
町医者タイプ
地域に何件かある「かかりつけ医」型のクリニックがこれに該当します。
お医者さんは一人が基本で、看護師さんなどのスタッフが何人かいるような町のクリニックです。
・風邪っぽい
・お腹が痛い
など日常的な不調に対応して、必要があれば大病院に紹介状を書いて専門医に診てもらうような感じですね。
税理士事務所でもこのタイプが一番多いと思います。
「会社も個人事業も、相続も対応しますよ」という感じで、一通りの業務には対応してくれますし、多くの場合は近場のお客さんを中心にしているので、直接会いやすいという特徴もあると思います。
また、色々な顧問先を抱えているので、税務以外の悩み(社会保険や給与計算など)にも一定レベルで答えてくれる税理士も多い印象です。
ただ、逆に言えば依頼者に明確なニーズがあれば町医者タイプの税理士にはマッチしない可能性もありますので、「自分は何に困っていて、何を依頼したいのか」ということを考えておく必要はあるでしょう。
他にも考えたいポイント
ざっくりと税理士事務所のタイプを分類してみましたが、各分類の中にも特徴があります。
これらの要素を考えながら、自分に合う税理士を探してみてください。
経理を丸投げしたいかどうか
税理士の中には「依頼者が経理を行い、チェックをする」という前提で仕事をしている事務所もあります。
そのため、自分で経理を行うかどうかを決めておく方が税理士を探すにあたってスムーズだと思います。
ただ、経理のアウトソースについても
・書類の整理から依頼したい
・会計ソフトへの入力だけ依頼したい
と段階がありますので、この辺りも検討して頂ければ。
また、丸投げする場合、税理士事務所以外にも経理代行サービスもありますので、「経理は経理代行に、チェックは税理士に」という組み合わせもあると思います。
自分自身の経理レベル
上記の丸投げかどうかに繋がりますが、自社で経理を行うには、一定レベルの経理知識が必要になります。
例えば
・簿記の知識があり、会計ソフトも使いこなせる
・知り合いに経理経験者がいて、その人に頼める
みたいな場合は問題なく自社で経理を回すことができるでしょう。
一方で、「自社で対応したいが経験不足」といった場合は、経理指導を受けるなど対策が必要になります。
このような経理サポートまで含めて対応してくれる事務所かどうかは確認しておくべきでしょう。
対面かオンラインか
従来は対面での打ち合わせが税理士業界のデフォルトでしたが、新型コロナの影響もありオンライン面談も珍しくはなくなっています。
そのため、エリアを限定せずに仕事をしやすい環境は整ったのかな、と感じています。
(私はコロナ以前からリモート対応しており、東北や山陰など遠方のお客様もいらっしゃいます)
税理士と直接会って話をしたいか、オンラインで対応して欲しいかは考えておくべきでしょう。
例えば、私の場合はオンラインを中心にしながら、年に一度は顔を合わせるみたいなお付き合いをしているお客様もいますので、対面かオンラインの二者択一とは限らないのですが。
資料の共有や連絡方法
税理士は請求書や領収書、契約書などを確認した上で判断をしますので、税資料をやり取りする場面は頻繁に生じます。
また、何か質問などがあった際にどのように連絡を取るかも様々です。
資料のやり取りはどの方法で行いたいのか?
クラウドストレージ、メール添付、郵送、FAXなど色々ありますので、考えておくのが良いと思います。
また、日常の連絡もslackやChatworkなどのチャットツール、メール、電話などの選択肢があります。
自分が使いたい連絡手段に税理士が対応しているかも確認しておきたいポイントです。
税理士との打ち合わせの頻度
税理士との打ち合わせ頻度も毎月・四半期ごと・年に一度など様々です。
基本的には打ち合わせ頻度が高ければ報酬も高くなります。
・自分で経理をしているが不安がある
・定期的にアドバイスが欲しい
という方は毎月の打ち合わせなど、頻度を高めに設定した方が良いでしょう。
一方で、
・経理には自信があるし、悩み事も少ない
という方は年に一度の打ち合わせでも良いかもしれません。
ただ、年に一度では
・ミスがあった時に気付くのが遅くなる
・打ち合わせの時には必要な届出の期限が過ぎていた
などデメリットも存在します。
どこまでを自分の責任で対応するか、という視点で打ち合わせの頻度を決めるのが良いと思います。
税理士報酬
クラウド会計の登場などで効率は上がっているとは言え、基本的には税理士は労働集約型の仕事です。
そのため、「支払う報酬」と「自分のために使ってもらえる時間」は比例します。
例えば、年に一度、決算のみの依頼で10万円程度のクライアントには十分な時間を割くことは不可能です。
また、毎月打ち合わせで月額顧問料が1~2万円では、税理士が担当することはほぼ不可能で、資格を持たないスタッフが担当する可能性が高くなるでしょう。
毎月の打ち合わせを実施して手厚いサポートを受けようと思えば、年間で少なくとも70~80万円程度の予算は考えておかないと厳しいでしょう。
もちろん、自社である程度のことは解決できるので、安い顧問料で最低限の相談に乗って欲しい、という方はそれで問題ないと思います。
税理士事務所の中には料金表があり、年間報酬の目安が分かるところもあるので、参考程度に見てみるのも良いと思います。
どうやって税理士を探すか
税理士と言っても、ホームページを持っている事務所もあれば、そうでない事務所もあります。
当然ながら、ネットで検索してもホームページを持っていない事務所と出会うことはありません。
どちらが優れているという訳ではなく、探し方によって「絶対に出会えない税理士」もいるということで。
具体的にどのような手段があるのかご紹介します。
知人の紹介
知人に経営者やフリーランスがいて税理士と付き合いがあれば、その税理士を紹介してくれる可能性があります。
紹介してくれるということは、その経営者からの評価は一定以上だと思いますので、「大ハズレ」を引く可能性は低いのではないかと思います。
ただ、税理士との相性は人それぞれですので、その方の評価が高いからと言って、あなたとの相性が良いかは別問題です。
そのため、事前にあなたが望む条件を整理して、その上で相談をすればミスマッチを防ぎやすいと思います。
ネット検索
ホームページを持っている税理士事務所も多いので、ネット検索で税理士を探すことも可能です。
「〇〇(地域名) 税理士」、「〇〇(業種) 税理士」
などと検索すれば、色々な事務所がヒットすると思います。
そこで印象が良い税理士事務所に問い合わせをすることも方法の一つです。
また、税理士の中にはYouTubeに動画をアップしている方もいますし、ブログやnoteなどで記事を書いている人もいます。
ホームページ以外にも積極的に発信している税理士であれば、考え方や人柄をより知ることも出来ると思います。
銀行や商工会へ相談
もしあなたが銀行から融資を受けていたり、商工会に加入していれば、そこで税理士を探すこともできます。
ただ、銀行や商工会が個々の税理士の特徴を把握している訳ではないので、特定のニーズがある場合はあまりお勧めできません。
「近くの税理士が良い」ということであれば、何人かの税理士を紹介してくれることでしょう。
税理士会へ問い合わせ
銀行にも商工会にもツテがないという場合は、地元の税理士会に相談することもできます。
「〇〇(地域名) 税理士会」と検索すれば、地元の税理士会がヒットします。
そこで電話などで連絡をすると、対応してくれるはずです。
税理士紹介会社
個人的にはあまりお勧めしない方法ではありますが。税理士紹介会社に依頼することもできます。
顧客を税理士に紹介することで、紹介先の税理士から手数料を取るというビジネスモデルになっています。
つまり、基本的には集客に困っていない税理士は税理士紹介会社を使っていないってことなんですよね。
わざわざ手数料を払ってまで紹介を受けなくても、仕事はたくさんある訳ですから。
ただ、紹介会社に登録している税理士が全員ダメという訳ではなく
・独立して間もない若手税理士
・規模拡大を狙う税理士事務所
なども登録している場合があります。
運が良ければ相性の良い税理士と出会うことは可能だと思います。
まとめ
税理士を探すには色々なポイントがありますが、「自分のニーズが明確になればミスマッチは防ぎやすい」ということです。
自分のニーズを考えずに何となく税理士に依頼するというのは、「風邪かケガか分からないけど、通りがかりの病院に入ってみた」みたいな話になる訳で。
また、上記で紹介したポイント以外にも「税理士との人間的な相性」も大事だと思っています。
時には悩み相談などもする訳ですので、人間としての相性って実は大事なんですよね。
「何か話にくいなぁ」と思っている人には、腹を割って話せないじゃないですか。
これは個人的な考えですが、私は「クライアントのプライベートも含めて色々な話ができる」ことが大切だと思っていますし、そういったクライアントとお付き合いをしています。
もちろん「仕事の話だけでプライベートには踏み込んで欲しくない」という人もいるでしょう。
そういう方は、そういった線引きをしている税理士とお付き合いすれば良い訳です。
就職活動をする時に自己分析をしたように、税理士を探す時にも自分のニーズを整理して、良い税理士とお付き合いできることを願っています。
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私は仕事に対する考え方なども発信して、ミスマッチを減らす工夫をしています。
例えば、こんな記事とかですかね。
参考 私が大切にする「パートナーシップ」とは〜税理士との付き合い方のススメ〜ソーシャル税理士金子尚弘のページプロフィールもいわゆる学歴紹介とかではなく、価値観を伝えながら書いていますので、よろしければ。
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