【年末調整チェック者向け】配偶者控除・配偶者特別控除って?〜基本から気を付けるポイントまで〜

2018年から大幅改正となった配偶者控除と配偶者特別控除。

制度の概要については、以前の記事にまとめてありますので、よければご覧ください。

ここでは、年末調整の際の注意点を中心にまとめて行きます。

配偶者控除申告書の記入方法

前提として、配偶者控除または配偶者特別控除を適用する人のみ記入が必要です。

フルタイムの共働きなど、明らかに制度の対象外の人は記入する必要はありません。

配偶者控除申告書はこのようになっており、大きく分けて4つ記入する箇所があります。

上から順番通りになっていませんが、①から順番にチェックして行った方が無駄がないので、このような順番にしました。

①ご自身と配偶者の所得状況の計算欄

②ご自身の所得金額の記入欄

③配偶者の所得金額の記入欄

④配偶者控除・配偶者特別控除の計算欄

となっています。

それぞれの記入のポイントを見てみましょう。

①ご自身と配偶者の所得状況の計算欄

収入、所得とは何かを理解していないと正しく記入できません。

恐らくですが、間違えて記入された配偶者控除申告書が多発しているのでは・・・

お給料かそれ以外で所得の計算方法が異なりますので、少し解説しておきます。

・お給料の場合

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
180万円以下 収入金額×40%
(65万円に満たない場合には65万円)
180万円超 360万円以下 収入金額×30%+18万円
360万円超 660万円以下 収入金額×20%+54万円
660万円超 1000万円以下 収入金額×10%+120万円
1000万円超 220万円(上限)

例えば、給与収入が600万円の人の場合、

(収入)600万円

(給与所得控除)600万円×20%+54万円=174万円

(給与所得)600万円-174万円=426万円

となります。

・お給料以外の場合

個人事業主であれば事業所得、開業届を出さずに副業レベルであれば雑所得、不動産収入があれば不動産所得など、それぞれに合った所得を計算します。

いずれも考え方は同じで、売上ー経費で計算します。

実際の経費の金額を集計するところが、給与所得とは違います。

 

しかし、ここで問題が・・・

年末調整の書類は11月、遅くとも12月頭には提出していると思います。

12月が終わらないと実際の金額が分からないじゃん!!

実際の金額は分からないけど、見込みで書いてね、ということです。

②ご自身の所得金額の記入欄、③配偶者の所得金額の記入欄を書く前に

配偶者控除申告書には「上記の*1(*2)に転記してください」との文字が。

しかし、転記する前にご自身の所得金額(①)と配偶者の所得金額(②)をチェックしてください。

①が1000万円を超えている(1000万円ジャストはOK)

②が123万円を超えている(123万円ジャストはOK)

このどちらかに該当する場合、

配偶者控除も配偶者特別控除も使えません!

なので、これ以上チェックする意味はありません。完全に時間の無駄です。

配偶者控除・配偶者特別控除がゼロになっていることを確認して、次の人のチェックに進みましょう。

上記の条件のいずれにも該当しない場合は、②ご自身の所得金額の記入欄・③配偶者の所得金額の記入欄に正しい金額が記入されているかをチェックしましょう。

それぞれ正しい金額になっていれば、配偶者控除・配偶者特別控除の計算に移ります。

④配偶者控除・配偶者特別控除の計算欄

2018年から、自身の所得金額と配偶者の所得金額を掛け合わせて計算することになったため、かなり分かりにくくなってしまいました。

それぞれの所得金額を下記の表に当てはめて、配偶者控除・配偶者特別控除の金額を計算します。

配偶者控除・配偶者特別控除の注意点

記入されているのが収入か所得かを確認

よくある例ですが、

所得見積額:103万円

と書かれているんですよ。年に何度も目にします。

そのまま判断すれば対象外ということになりますが、恐らくはパート収入が103万円ってことですよね。

今回からは所得金額を当てはめて計算することになっているため、

収入と所得を間違えた意味不明な配偶者控除申告書が提出される可能性大です。

当然ですが、所得ではなく収入を書いてしまえば控除額がゼロになるか、本来より少なくなってしまいます。

チェック者としては手間が増えますが、従業員さんに収入か所得か確認して、必要があれば訂正しましょう。

必要なのは集中力と、ガンジーのような優しさです。

そう、無償の愛。

配偶者の年齢をチェック

配偶者欄に生年月日を記入するところがあります。

12月31日時点で配偶者が70歳以上の場合と70歳未満の場合とで控除額が異なるので、きちんと確認しましょう。

事実婚の場合は?

所得税の配偶者控除は、法律婚に限定されています。

古くさいなぁ、と思うことはありますが、法律がそうなっているので仕方ありません。

配偶者欄の人の名字が違っていたら要確認です。

離婚した場合は?

配偶者控除・配偶者特別控除は12月31日時点で要件を満たしている場合に適用が可能です。

残念ながら年内に離婚している場合は、いくら(元)配偶者の所得が低くても適用できません。

配偶者控除の欄には(元)配偶者の名前が書いてあるけど、扶養控除申告書の配偶者欄は「無」になっているという場合を何度か見掛けたことがあります。

明らかに矛盾していますので、こんな場合は本人に確認して事実確認をしておきましょう。

前年の状況とのチェックを忘れずに

ご覧の通り、今年から配偶者控除申告書の記載内容が複雑になりました。

よく分からないから書くのやめた!

と配偶者控除申告書を空欄で出してしまったという人もいるかもしれません。

前年に配偶者控除や配偶者特別控除の適用をしているにもかかわらず今年の配偶者控除申告書に記入がない場合は、念のため本人に確認をした方が良いでしょう。

配偶者がフルタイムで働き出して対象外になっているかもしれませんが、少しの優しさで控除漏れを防げるかもしれません。

【備考】自身の所得や配偶者の所得の見込みが分からないと言われた場合

 

配偶者控除・配偶者特別控除の額は、本来12月31日にならないと分かりません。

そのため、所得の見積額をいくらにすれば良いのか分からない、という場合もあると思います。

特に今年からは扶養する側の所得も関わるため、12月の冬のボーナス次第で判定が変わってしまう、ということもあるでしょう。

そのような場合は、予想よりも高めの所得で見積額を算定しておくことが良いと思います。

 

実際の控除額が確定した際の処理ですが、

・(1月中であれば)年末調整のやり直しをして再計算

・本人が確定申告を行う

のいずれかになります。

 

最初の年末調整で予想よりも高めの所得にしておけば、年末調整のやり直しや確定申告をした際に還付になるので、その方が気持ち的には良いかな、というところです。

まとめ

配偶者控除・配偶者特別控除のポイントをまとめるを以下のようになります。

・自身と配偶者の所得見込額をチェック→対象外なら無駄な作業をしない

・給与所得控除が正しく計算されているかをチェック

・記入されている配偶者の所得金額が収入金額になっていないか確認

・配偶者の年齢をチェック

・離婚や事実婚などの場合に正しく記入されているかチェック

・前年の年末調整と見比べて、大きな変化がないか念のため確認

・チェック者に必要なのは集中力と優しさ

今年からはかなり面倒になった配偶者控除と配偶者特別控除。

頑張って確実な処理をして行きましょう!

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